□深みに嵌る
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愛してるも愛していないもすっ飛ばして、千鳥足の俺たちが入り込んだのはラブホテルだった。

らしい。

広いベッド、天井の鏡、窓のない部屋。

そして俺は組み敷かれ、最終的には貫かれた。

ようだ。

記憶は、ない。

嘘だと、思いたい。

しかし…

一組の裸体、感じたことのない下半身の痛み、屑入れの中の使用済みゴム。

そんな状況証拠が俺に現実を突きつけている。

頭が痛すぎて、有得ないと跳ね除ける元気もなかった。そんな元気があったところでもはや言い逃れが出来る状況とも思えない。

せめて尻のあたりの痛みさえなければ、まだ笑い飛ばせた。相手構わず欲情するとはよほど溜まってたんだなと、顔を引き攣らせながらも納得出来たはずだ。

それなのに、何故、こんなにも痛む俺の肛門。

俺にはそんな趣味はない。興味すらなかった。むしろ幼い頃のトラウマで毛嫌いしていたくらいなのに。

しかも俺の隣に寝ているこの男とは、会えば確実に喧嘩になるほどの犬猿の仲だったはず。

なんなのだこの現実は。これは本当に俺の体なのか。

ゆるゆると持ち上げた左腕には、見慣れた刀傷があって泣きたくなった。
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