話2


□失望アタッチメント
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「嬉しくて言葉も出ねェか?」

「…呆れてものも言えねェ」

力が戻りつつあったので高杉の体を押し戻そうとしたが、どうもおとなしく離れていく気はなさそうだった。仕方なく、両手で首をガードして新たな攻撃だけは受けないようにする。

「前にも言ったが、俺は本気だ」

「だから…本気でからかってんだろ?…もうやめろ、そういうの」

高杉はノーガードだ。脇に触れて反撃するチャンスだったが、どうもそんな気分にはなれなかった。

俺を見る目付きが急に鋭くなったせいかもしれない。自分の思い通りにことが進まなくて機嫌を損ねたのだろうか。

「本当に、その気はねェのか?」

「…お前と恋人になるってか?」

高杉は僅かな傾斜をつけて頷いた。いつまでも睨むようにこちらを見てくるので居心地が悪かった。そしてそれ以上に苛立ちが募ってくる。

わからないことを言い出してその上急に不機嫌になるだなんて、勝手すぎるじゃないか。

「…つーか想像できねェって。俺とお前が恋人とか」

「そォかよ」

高杉は全てを投げ出すようにそう言うと、引っ付いていた俺からあっさり離れていった。隻眼ももうこちらに向けられてはいない。

そのまま準備室に一人残された俺は、後味の悪さを感じながら、首を守っていた両手を下ろした。




鳴り物入り

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