話3
□青春を黙らせろ!舞い踊れ伊勢海老ver.
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「うまそォォォ!こんなでけェ海老初めて見た!」
「すげーな、お椀からはみ出てんぞ」
「格安で泊まらせていただいた上にこんなサービスをしてもらえるとは…!」
「辰馬の放浪癖も意外なところで役にたつもんだなァ」
「あっはっは!人徳ぜよ!」
「でもお前この旅館本気で継ぐのか?」
「継ぐ?わしはそんなこと一言もいっちょらんが」
「でも女将が言ってたぞ。娘に良い婿が見つかって嬉しいって」
「え…?」
「お前まさか…手ェ出したんじゃ…」
「そりゃあ出したは出したが…」
「何当たり前のことみたいに言ってんだコラ」
「辰馬じゃなくて種馬だな」
「うまいこと言ってる場合ではないぞ高杉!」
「どうすんのお前。責任取った方がいーんじゃね?」
「まぁ遊びに来てやっから格安で泊まらせてくれ」
「嫌じゃァァァ!わしにはおりょうちゃんが!」
「んなこと言うくらいなら他所の女に手ェ出してんじゃねーよ」
「…謝ってくるぜよ!」
「ちょっ!バカか!」
「待て!」
「わしはおりょうちゃんとの未来のためにも誤解を解いてこにゃあ…!」
「今『すんません、娘さん食い逃げする気でした☆』とか言ってみろ!正規の宿泊料金どころか慰謝料も取られんぞ!」
「俺そんな金ねェからな」
「お前が潔くここを継げばいい話だろう。なかなか良い旅館ではないか」
「だからわしにはおりょうちゃんが!」
「あんな相手にもしてくれねェ女より、お前を必要としてる女と居た方が幸せなんじゃねェかァ?」
「つーかお前もそうしてくれ」
「安心しろ、俺は他の奴なんか目に入らねェからよォ」
「俺もだぞ土方!」
「話ややこしくすんのやめてくんない!?とりあえず、ここは黙って勘違いさせてこーぜ」
「そうだな。どォせそのうち向こうから見限るだろ、こんなフラフラした男」
「冷めちまうしさっさと食うか」
「いただきます」
「皆ひどいぜよー!」
「「「「自業自得だ」」」」
終
辰馬が放浪中にお金がなくて路頭に迷ったところを拾われ、厨房で皿洗いとして働かせてもらっていた旅館。そんで娘に手を出し、お金が貯まったら「また来るぜよー」とか言ってさっさと居なくなったという。まさか婿化計画が始動しているとは知らず、安くするからと言われノコノコやって来た、って話でした。
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