話3

□青春を黙らせろ!舞い踊れ伊勢海老ver.
1ページ/1ページ


「うまそォォォ!こんなでけェ海老初めて見た!」

「すげーな、お椀からはみ出てんぞ」

「格安で泊まらせていただいた上にこんなサービスをしてもらえるとは…!」

「辰馬の放浪癖も意外なところで役にたつもんだなァ」

「あっはっは!人徳ぜよ!」

「でもお前この旅館本気で継ぐのか?」

「継ぐ?わしはそんなこと一言もいっちょらんが」

「でも女将が言ってたぞ。娘に良い婿が見つかって嬉しいって」

「え…?」

「お前まさか…手ェ出したんじゃ…」

「そりゃあ出したは出したが…」

「何当たり前のことみたいに言ってんだコラ」

「辰馬じゃなくて種馬だな」

「うまいこと言ってる場合ではないぞ高杉!」

「どうすんのお前。責任取った方がいーんじゃね?」

「まぁ遊びに来てやっから格安で泊まらせてくれ」

「嫌じゃァァァ!わしにはおりょうちゃんが!」

「んなこと言うくらいなら他所の女に手ェ出してんじゃねーよ」

「…謝ってくるぜよ!」

「ちょっ!バカか!」

「待て!」

「わしはおりょうちゃんとの未来のためにも誤解を解いてこにゃあ…!」

「今『すんません、娘さん食い逃げする気でした☆』とか言ってみろ!正規の宿泊料金どころか慰謝料も取られんぞ!」

「俺そんな金ねェからな」

「お前が潔くここを継げばいい話だろう。なかなか良い旅館ではないか」

「だからわしにはおりょうちゃんが!」

「あんな相手にもしてくれねェ女より、お前を必要としてる女と居た方が幸せなんじゃねェかァ?」

「つーかお前もそうしてくれ」

「安心しろ、俺は他の奴なんか目に入らねェからよォ」

「俺もだぞ土方!」

「話ややこしくすんのやめてくんない!?とりあえず、ここは黙って勘違いさせてこーぜ」

「そうだな。どォせそのうち向こうから見限るだろ、こんなフラフラした男」

「冷めちまうしさっさと食うか」

「いただきます」

「皆ひどいぜよー!」

「「「「自業自得だ」」」」











辰馬が放浪中にお金がなくて路頭に迷ったところを拾われ、厨房で皿洗いとして働かせてもらっていた旅館。そんで娘に手を出し、お金が貯まったら「また来るぜよー」とか言ってさっさと居なくなったという。まさか婿化計画が始動しているとは知らず、安くするからと言われノコノコやって来た、って話でした。

過去拍手文

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ