高校生2

□少年の旋毛は何処を向く
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夢の中にいるみたいだと思った。

走っても走っても進まない。望む場所に辿り着かない。疲れもせず、ただ焦燥感だけが募っていく。

「土方……っ」

小さく名前を呼ぶ。答えてくれなくたって構わない。ただ今は、その姿を見て安心したかった。

必死の形相なのだろう。俺の顔を見た生徒たちが慌てて道をあける。普段通り騒がしかった昼休みの廊下が、水を打ったように静まりかえっていく。響くのは俺の足音だけ。

ここにもいない。ここにもいない。

焦燥の中で、ただひたすら不在を確認し続ける。ここは他学年の階だから土方がいる可能性は低い。それでも、一つ一つの教室を余すことなく覗いていく。

家庭科室のドアを開けようとしたその時、携帯が震えた。



 
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