話(連載)

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化け物…


それは俺のためにある言葉なのかもしれない。いや、その言葉のために俺が生まれてきたのか。その方がしっくりくる気がする。

「おにーさん、恨まないでな?こうしねーと俺も生きられねーんだわ」

狭く、月光も届かない路地裏。
生ゴミや獣の臭いが漂う淀んだ空気の中で今日も、ただの死体だった男が凄惨な死体へと生まれ変わった。

本当はもっと活きの良い奴が食いたいんだけど。そんな叶わない贅沢はゲップと共に霧散させる。

壁にもたれて目を閉じると、完璧な闇の中に朧気な2つの光が見えた。

なんだか、新しいことが始まる気がした。

なぁ母さん、先生、俺はまだ生きてるよ。

空気は変わらずに淀んでいる。
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