話(高校生連載)

□ロンリータフガイ
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かたかたかたかたかたかた…

背中に等間隔で振動が伝わる。あーっと声を出すと自然にビブラートがかかる。
少し古い洗濯機。世にも奇妙な真っ青の洗濯機。中でぐるぐると回るのは俺たちの抜け殻だ。

かたかたかたかたかたかた…

「太陽って奴は、孤独だよな」

ふと漏れた俺の言葉にもビブラートがかかる。坂田はワイシャツにボタンを縫い付ける手を止め、顔をあげた。

真っ青な世界に、向かい合って二人。真っ暗な宇宙で、太陽は孤独。

「まぁ、熱いもんな。近寄れねーよ」

近づくものを全て焼き尽くす太陽。独りきりの。目で直接見ることすら出来ない。

「太陽自身は気にしてねーんじゃね?」

「そーか?」

あんな広大な宇宙で独りきりなのに、なんて強い奴だ太陽、熱い男だ。感動で目が潤んだ。

「やっぱお前の泣き所わかんねーわ」

坂田はそう言って笑った。さすがに涙を溢すのはみっともないから、顔を上に向けて自然乾燥を試みる。洗濯機に預けた後頭部がかたかたと揺れて、結局その振動のせいで一粒落ちた。
諦めて前を向いて、もう一粒だけ流してから目を拭った。

俺は、太陽にはなれそうもない。





高校生シリーズ

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