話(高校生連載)
□どこでもいい、ここならいい
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「坂田ー、マヨネーズは?」
「俺お腹空いちゃいましたー」
「さっさと仕上げて持って来やがれェ」
「うっせーな、わぁってるよ!」
青いスリッパをぱたぱたと鳴らして坂田はリビングとキッチンを行きつ戻りつしている。
俺はそれをパウダービーズのクッションを抱えて見守り、山崎は待ちきれないのかサラダのきゅうりをつまみ食いして、高杉は今日も本を片手にビールを呑んでいる。
青いテーブルには続々と料理が並び、俺の手元にはマヨネーズがやってきた。
「山崎、みっともねーぞ」
来たばかりの餃子をつまむ山崎の背中をクッションで殴ると、早いもん勝ちでしょう、ともぐもぐした口で言われた。なんかムカついたからその顔を殴った。
高杉がこちらをちらりと見て、ばーか、と呟く。無視をして、坂田から手渡された茶碗にマヨネーズをかけた。
「よーし、感謝して食えお前ら」
「待ってました!」
「お前は待ってねーだろ」
マヨネーズの香り高い酸味に呼ばれて腹の虫が鳴いた。いただきます、と手を合わせる。
ここならいいだなんて、最大級の贅沢なんだろう。
終
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