話(高校生連載)
□ディア・ディア・ディア
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「…これ、食えるんだよな?」
「失礼なこと言うんじゃねェ。どう見ても立派なハンバーグだろーが」
「いや、どう見ても立派では…。あ、匂いはいいけどね?ちょーっとだけ焦げ臭いけどね?で、これは?煮物的なもの?」
「味噌汁だ。見りゃわかんだろォが」
「吹き零れたからちょっと汁気がなくなったんだよな」
「どんだけ鍋放置したの!?この量は逆にすげーよ!」
「ちなみにこれはポテトサラダです」
「…唯一まともだな…」
「だと思うだろ?」
「え…?」
「ジャガイモの中心が固いんですよねー」
「なんでだよ!茹でろよちゃんと!」
「レンチンでもいけるんですよ」
「確かにそれでもいけるけどね!?とりあえずなんでもいいから柔らかいジャガイモ食べさせてくんねーかな!」
「なんかもう疲れちゃって」
「料理って大変だな」
「これが趣味なお前は変態だよなァ」
「お前ら…祝う気ある?」
「まぁ、それなりに」
「めでたいめでたい」
「こんだけやってやったんだからよォ、素直に有り難く思え」
「お、おう…」
失敗作ばかりが並んだテーブルを囲み、扱いは気のせいかいつもよりひどく…。
あれ?俺って今日誕生日だよね?主役なんだよね?こいつらって本当に人としてどうなんだろ。
あ、でもケーキはちゃんと俺が好きな店の買ってきてくれたんだよな。愛を感じる。なんだかんだ言っても、やっぱりいい奴等だ。
「愛してるよお前ら!」
「「「キモい」」」
「ひどい!」
泣くふりをしてみるも慰めてくれるわけはなく、三人は俺抜きでさっさと乾杯をして、ギャーギャー言いながら飯を食い始めた。
ちくしょう…はっぴーばーすでー、俺!
意を決して、黒い塊と化しているハンバーグに箸先をのばした。
終
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