話(高校生連載)
□villa
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「いや、こうして集まれたのは嬉しいんだけど、お前ら連絡って言葉知ってる?」
「悪い…俺が勝手に連れてきちまったんだ」
「ちっ、違ェよ!?連れてきてくれたのはすっげェありがたいから!ただちょっとびっくりしただけだから!」
聞いていた通り坂田の家は天地に関わらず青尽くめで、想像はしていたもののさすがに驚いた。
表向き普通だったドアの内側は、ノブや鍵を含め全面青一色で、玄関に敷き詰められたタイルの隙間さえ青い。先に伸びる廊下やその天井も言うに及ばず。唯一の例外は電球が白いことだけだった。
まさかこれほどまでに徹底されているとは。一体どれほどの時間と金をかけたのだろうか。酔狂という言葉ではとても表現しきれないように思う。
「俺、図々しすぎたな…」
「そんなことねェって!ここはお前の家だから、なんでも好きにしていいって言ったろ?」
そしてこれもやはり聞いていた通りのことなのだが、坂田は土方に滅法甘い、というか弱いようだった。必死に弁明している坂田の銀髪頭からは、俺と山崎の存在など綺麗に消し飛んでいるに違いない。
玄関は窮屈と言うわけではないのだが、放置され立たされている状況が気にくわなかった。俺は客人であるにも関わらず、まだ靴さえ脱いでいないのだ。
招いていないとはいえ、それなりにこっちも気遣えよ。挨拶代わりにそう言ってやろうとしたが、隣にいた山崎が動き出す方が早かった。
「上がりましょう」
勝手を知っているらしい山崎に促され、二人の横を通って勝手に奥へと進む。その時でさえ、坂田はちらりほどもこちらに視線を寄越さなかった。
ベタ惚れ、ってか。単純そうな奴。
それが第一印象だった。