話(高校生連載)

□villa
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初めて揃った四人の少年たちは、青尽くしの部屋に据えられたソファに腰掛けている。

漂うのは人数分の沈黙と、テーブルに並んだ大皿から立ち上る湯気ばかりだ。このまま時が刻々と過ぎ行けば、あたたかな湯気は消えて宙を支配するのは沈黙のみとなるのだろう。それはそれで面倒だ。

大体において、こういう状況は早めに打破するに限る。かといって自分から進んでやる気にはなれない。

何とかしろ、とこの家の主に視線を寄越した。しかし俯きがちに、それでも確実に土方の方を向いている坂田は気づきもしない。

そして熱視線の先にいる土方が見ているのは、同じソファの端に座る高杉で、その高杉は状況などお構いなしに文庫本を読んでいる。なんだこの分かりやすい三角関係。秘める気とかないのだろうか。

軽く呆れながら眺める視線に気付いたのか、土方が山崎の方を見て瞬きをした。少しバツの悪そうな表情をしているので思わず安心させようと微笑む。

恨みがましそうな坂田の視線を感じたが、特に疚しい気持ちがあるわけではないから気にせず放っておいた。事情はあとで説明すればいい。山崎の過去を知っている坂田なら、納得してくれるはずだ。

「食べましょうか」

自然と口にしていた山崎の言葉に、湯気を挟んだ向こうの土方はこくりと頷いた。



 
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