話(高校生連載)
□まんまろましゅまる
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「…おかしくねェか、これは」
「何が?」
「次は俺ですよー」
「あ、落ちんぞ」
カウンターの向こうにアホ面が3つ、生首のように並んでピーチクパーチクと喧しい。
俺の手には無理矢理持たされた長めの竹串と、その先に刺さった炙りたてのマシュマロが一つ。弱火を揺らすコンロの横には、出番を待つマシュマロを大量に蓄えたボウルが鎮座している。真白と青のコントラストが寒々しい。
ホワイトデーだからというわけのわからぬ理由で強引にキッチンへ押し込まれ、俺は今、用意されたマシュマロを焼いては一人一人の口に突っ込んでいた。
たしかにホワイトデーというのは至極下らない行事だと思う。だが、ここまで馬鹿馬鹿しいことをする必要はあるんだろうか。
「お前ら、これでいいのか?」
人として、という言葉はとりあえず言外に置いて問うてみれば、
3つの生首は迷いなく、むしろ楽しげに頷いたのだった。
終
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