話(高校生連載)

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「寝不足か?」

「え?見える?」

「いつもより目が死んでる」

「それもう完全に死人だよね、俺の場合」

「死人つーか…死魚…?」

「…なんか生臭ェ」

「あー、そういう話じゃなくて…なんか、あったのか?お前がそんな顔してんの珍しい」

「そんな心配するようなことはねェよ?ちょっと夢見が悪かったー、って感じ」

「夢?」

「昔の、な。母さんが死んで自棄になって喧嘩に明け暮れてた頃の夢」

「ん」

「あれ?完全に聞く体勢?特に面白い話でもなんでもねェんだけど…」

「悪夢は人に話した方がいいって言うだろ」

「そっか…ありがとな」

「………」

「…ほんと、単純な夢なんだよ。倒しても倒しても相手が減らなくて。で、結局俺が倒されて、あー殺されんなーって思うんだけどさ…あいつらそれ以上手を出してこねェの。ただ黙って俺のこと見下ろしてるだけ。殺してくれって俺が言っても誰も動かなくて…んでさ…気付いたら、そいつらの顔が……」

「…坂田?」

「…なんかすっげェ怖い化け物みたいになってたんだよなー。それでびっくりして変な時間に起きちまったわけ」

「…そうか…」

「お前の顔見たらそんなの忘れちゃったけど、なーんて」

「………」

「どうした?そんなじっと見られたら銀さん照れちゃう」

「嫌なこと忘れられんなら、…いくらでも見ろよ」

「…そんな風に言ってもらえるなら毎晩悪夢でもいいかも」

「…アホか」








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