MaiN S

□Sasuke's Birthday 2011
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碌な任務でないことは断言できた。何故大名勢の機嫌取りに利用されなければならないのか。


サスケは隣に座るイタチに目をやって内心で大きな溜息をついた。























珍しく兄弟そろって与えられた休暇に、呑気に休みが被ったな、と言いながら昨夜は久しぶりに明日の予定を立てていたうちは兄弟は、翌日五代目火影によってものの見事に休日を潰された。


イタチは暗部、サスケは上忍として任務に忙殺される日々を送っていた。そんな中で訪れた二人同時に与えられた休日は丁度サスケの誕生日。


イタチとしては数年ぶりにまともに弟の誕生日を祝えると休暇をくれた五代目火影に感謝していたのだが、そんな思いは翌朝五代目に招集されることで払拭されてしまった。



7月23日、午前9時を回ったころ。



火影が使用する執務室に、イタチとサスケの姿があった。

















そもそもイタチとサスケは所属する組織が里内で異なる。それにもかかわらず、任務のための招集方法とまったく同じ方法で二人とも呼ばれた時には兄弟の胸中は穏やかなものではなかった。…一体何をやらされるのか。


よほどのことが里に起きているのだ、と思わずにはいられなかった。




写輪眼を保有する者は大体小隊の中で一人いればいい。それにもかかわらず双方が写輪眼を持ち、暗部と上忍がツーマンセルとして組む任務など、かなりの異常事態だ。



執務室に集まった二人に五代目は溜息混じりに謝罪の言葉を漏らした。


そして、その後に続いた言葉に眉根を寄せることになってしまったサスケを宥めるのにイタチはどれだけ苦労したことか。
























「先日里の視察をしにきた大名を覚えているかい?その大名たちがうちはの能力を大層気に入ってね。機会があれば話をする場を設けてほしいって依頼を受けて、もうフガクに話は通してあるんだが…その様子だと話が行っていないようだな」





背もたれに背中を預けた妙齢の火影は腕を組んで更に溜息をついた。里にとってかなり影響力のある大名故に、断るわけにもいかない。

本当はこの日も二人にこなしてほしい任務はあった。だが、二人の父はあえて息子達を差し出した。一族の代表ならなるべく自分の近しい者をと考えた父は本当に抜け目がない。



「まあ、そんな訳でちょっと二人で行ってきておくれ。言っとくが、あちらの方がお偉いさんなんだ。機嫌を損ねるようなことはするんじゃないよ、特にサスケ」

「…んなヘマするか」

「どうだか。イタチ、サスケ、とにかくあちら方の要求にはなるべく応えてほしい。失礼のないように」



後半部分はあきらかにサスケに向けた言葉だ。ムッとはしたもののどうにかひた隠しにすることには成功したが、執務室から出た瞬間にイタチに「そんなにむくれるな」と苦笑交じりに言われたあたり、兄には隠し切れていなかったらしい。









これで大名と直接つながりが出来ればうちは一族は大きな後ろ盾が出来る可能性は大きい。

自由に権威を振るいたがるフガクにとっては絶好の機会だろう。

流石は父上といったこところか。



だが、その父の目論見にも全く動じずに兄弟を送り出すことを快諾した綱手にも感服せざるを得ない。


それは単にイタチという存在があるからなのかもしれない。懐にうちはイタチがいることは里の上層部にとってはうちは一族を監視するのには最も適した存在だ。




弟のサスケがそんな里と一族の微妙な関係とイタチの立場を知っているのかどうかは定かではないが、出来るならば弟は巻き込みたくはない。





暗部時代から続いている板挟みが一層強まりそうだと、イタチは一歩前を歩く弟の横顔を眺めながら小さく息をつめた。














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