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□もう何も怖くない、怖くはない
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「ティエリア、お前はもう帰った方がいい」

ELSの故郷に着いてしばらくすると刹那がそんな事を言い出した。

「君を一人此処に置いて行くわけにはいかない」

最後まで付き合おう。
僕らには時間ならたっぷりあるのだ。
それに、こんな所で一人帰っては彼に怒られてしまうではないか。

「このままでは俺が怒られる」

ふっと笑って瞳を金色に輝かせた刹那を見て、まずいと思ったがもう遅かった。

「刹那!!」


新のイノベーターである刹那の力に僕が敵うわけがない。

「刹那の奴・・・」

強制送還されたヴェーダの中で呟くと、どんっと背中に体当たりされた。

「痛い」

「おかえり、ティエリア!このまま刹那・F・セイエイとELSの故郷から帰ってこないかと思ってたよ」

「リジェネ・・・」

そんなわけないだろう、刹那だってきっと帰りたいはずだ。
だけどいつになれば帰れるのか分からない。
だからこそ刹那一人にはさせたくなかったのに。

「おかえり」

愛しい声がわずかに怒りを孕んでいることを経験上分かってしまった。

「ただいま戻りました、ニール」

ごめんなさい、刹那を一人置いて来てしまって。
そう続けようとしたら、何とも言えない顔で眉間に皺を寄せて見つめられた。

「お前さん、何で俺が怒ってるか分かってないな」

「分かっています」

「いや、分かってない!見当違いもいい所だ!」

「なっ!刹那の事でしょう!?分かってますよ!!」

「ほら、分かってない」

いつもいつも不思議に思うのだけれど、どうして実体を持たない僕達がヴェーダの中で触れ合うことが出来るのだろう。
確かに抱きしめてくれる腕は暖かいし、抱きしめられた僕は相も変わらずドキドキして仕方ない。

まるで此処に居ることを確かめられているかのように、ぎゅうっと抱きしめられ大きく息を吸って吐いて、ニールは言った。

「無茶しすぎだ・・・心配しすぎてどうにかなりそうだった」

「・・・え?」

「お前さんのことだよ。刹那を守るためにELSを引きつけて、また肉体を失って」

「肉体なんて入れ物にすぎない」

「そりゃあお前さんはそう言うと思ってたけど、でも・・・それでも痛いとか怖いとか、そんな感情は本物だろう?」

「貴方は愚かだ」

本当に、愚かな人だ。
プトレマイオスのクルーでさえもそんな事言ったりしないのに、いつも僕の気持ちを考えて僕の心配をしてくれる。

「怖かっただろ?痛かっただろ?頑張ったな」

怖くはなかった。
痛くもなかった。
そうする事に何の躊躇いもなかった。

貴方が、そう言ってくれる貴方が、僕を心配してくれる貴方が居るこの場所に帰ることが出来る。
それだけで僕はもう何も怖くない。
怖くはないのです。












折原様、本当に本当にありがとうございました(≧∀≦)

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