比翼連理
□夏の花 1
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「花火ってさ、キレイだけど一瞬で消えちゃうから切ないよね…」
狭い部屋の開け放った窓から見える花火。
昔から、夜空を彩る一瞬の光を観るといつも思っていた。
消えてしまう儚さがあるからこそ美しいのかもしれないけれど、やはりどこかもの悲しくてなんだか泣きそうになってしまう。
すると、嵐はそっと私の肩を抱き寄せた。
「嵐…?」
「大丈夫や。消えたかて、来年もまた一緒に見れんねんから」
夜空を見つめる穏やかな嵐の横顔に花火の光が反射して、息をのむほど綺麗だと思った。
「来年も再来年もずーっと先も…一緒に見よな?」
「…うん」
胸がきゅっとなって思わず涙が滲んだのは、切ないからじゃなくて嬉しいから。
私は嵐の隣で花火を見上げながら、涙を溢さないように小さく頷いた。
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