比翼連理

□秋の嵐 1
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そろそろ手を離さなければならない、と思っている。
きっと、早い方が辛くないから。




私の体がおかしくなってからもうすぐ1年。
最近は病院のベッドで横になっている時間が目に見えて長くなった。

入院する度に検査、検査、検査。
何度検査しても、原因は未だわからない。

わかることはただ一つ。

たぶん私は、長くは生きられないのだろう。



「部活、今日も行かないの?」


「あーうん、なんか飽きてきたしええねん」


練習キツいしな、なんて苦笑いして。

嘘つき。
ホントはサッカー大好きなくせに。
ここに来るために休んでるんだって知ってるよ。

本当なら夏の練習で日焼けしているはずの嵐の肌は、ろくに部活に出ていないせいで去年より明らかに白い。


私がここにいるから、嵐は自由に動けない。
本当はどこまでも飛んでゆけるのに。




先週学校へ行った日、私はある場面を目撃していた。

真っ赤な顔をして嵐に手紙を渡す女の子。
半ば押しつけるようにして走り去る女の子の背中を見る嵐の表情は複雑だった。


あの子なら、嵐とずっと一緒に居られる。
嵐を、幸せにできる。

だから早く、手を離さないと。



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