比翼連理
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「……いつから、わかっとったん?」
抱き締められたままだからよく聞こえないけれど、翼の戸惑いと興奮は十分に伝わってくる。
「最初からだよ。出会えたのは偶然だったけど」
そう、私は出会った瞬間からわかっていた。
この人が、幼い頃から夢に見ていた私の運命のひとだって。
でも、だから好きになったというわけではない。
過去なんて関係なく、今の私は今の彼に惹かれたのだ。
「今まで気づかんで、ごめんな」
「…寂しかったんだからね」
「す、すまん…」
ちょっといじめてみたけど、あんまり申し訳なさそうにするからなんだかかわいそうになってしまった。
「もういいよ、ただ、結婚するまえに決着つけておきたかっただけ」
過去の私だったとしても、翼の気持ちを少しでも譲りたくないから。
そう言ったら、もっと強く抱き締められた。
「約束、ようやく守れるな」
「そうだね…」
「俺、絶対幸せにしたるわ」
「ふふ、幸せは二人で作るものよ?」
消えない花火はないけれど、
桜は散っても、また花を咲かせるのだ。
次の年も、また次の年も。
愛する人に、めぐり逢うために。
END
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