【long】

□白日
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遥奈先輩は何か考えるところがあるのか、間を空けて。

「まず、国光の親戚ってのが嘘」

真っ直ぐ、前を見つめて言った。

「親戚だから居候させてもらってるって事になってるけどね」
「……」

俺はといえば、少しだけ考えるふりをして、

「嘘?」
「そう…」

探ろうとした、謎。




世の中には色んなことがあって、家族や兄弟なのに血が繋がってないとか、

親戚の親戚でとか、

それは分からなくもない話。

でも結局何らかの繋がりがあって、それが絡まり合って一つに繋がるものだと俺は思ってた。

でも、それだけじゃないんだ。




遥奈先輩の場合、は。




「…それで血が「集合――!!」

タイミングよく遮ったのは大石先輩の声。
どうやら僅かの休憩時間も終わりを迎えたらしく、

いいところで水を止された俺は、当然納得のいかない顔で。

そんな俺に遥奈先輩は笑ってこそりと言った。

「続きは帰りね。さあ、行こう!」










それから、日が暮れて、練習終わりなんてあっという間で。

「遥奈先輩「遥奈っ、一緒に帰ろっ」
「…英二先輩」

校門で待ち構えていた俺を、英二先輩がイタズラ顔で押しのけた。

「ごめんね英二くん、今日はリョーマと「あれ、遥奈帰らないのかい?」
「うん、だから今日はリョ「ああ遥奈、こんな所にいたのか。この間言っていた滋養強壮の…」
「Σっ!!?」

迫り来る乾先輩の…乾汁の恐怖に笑顔を引きつらせて、

「ごめんねみんな!また今度!」

俺の手を取って走り出す。




途中、引っ張られる感じで遥奈先輩に歩幅を合わせる俺は、呆れながら、

「遥奈先輩って… 甘やかされすぎなんじゃない?」
「ん?」

それを不服に思ったのか分からないけど、

「うるさいっ、黙って走る!」
「痛ってぇ」

遥奈先輩は俺の手をグッと強く握って、そのスピードを速めたのだった。










「──夕焼け、キレイだねぇ…」

そして高台の、コンテナの上。

「あっ、アレ一番星かなぁ」

遥奈先輩は相変わらず飄々として、受ける風と、徐々に色を変えようとしている夕暮れの街並みに思いを馳せていた。

「…で、何だっけ」
「血がどうのってヤツ」

俺はやっぱり呆れて、

「うん、そう。血が繋がってないってヤツね」

平然とその言葉を発した遥奈先輩を、横からぼんやり眺めていた。


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