【long】

□白日
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そういえば俺は、いつか二人を見て皮肉な言葉を吐いた事があった。


「アンタってホントに手塚なワケ?」


冷静沈着なお堅い手塚部長と、

「ちょっとリョーマ!それどういう意味よっ」

明るくておおらかな遥奈先輩。

「…別に」それはもちろん、遥奈先輩に向けて吐いた言葉だった。

俺はその時も二人が兄妹だって思ってたから、あまりにもかけ離れた二人という個々の存在に違和感を感じていたんだ。




手塚の名が似つかわしくない、って…




「似てないに決まってるのにね」

遥奈先輩は膝をかかえ小さく、視線を落として呟いた。

「血が繋がってないんだから」と続けて。

「多分… 二年生と三年生はみんな知ってるんだと思うけど」
「親戚だからってヤツ?」
「そう。でもリョーマみたいに双子なんですかー?って言う人、今までもたくさんいたんだよ?」
「フーン」

普通だったらそう思う。
同じ手塚で、同じ家に住んでて、疑う箇所なんて…

「でもね、私と国光って誕生日違うし」
「え、…そうなの?」
「うん」


一年の時はそれで騒ぎになった。

二年になったら下級生の間で、同じ名なだけで噂になって。三年になった今は…

既に暗黙の了解。

変に吹聴される事もなく、後輩が聞けば先輩が教えてくれる。そんな状態に落ち着いていたらしい。


「堀尾くん達はすぐに聞いてきたから、てっきりリョーマもそこまでは知ってると思ってたのに」

そう、俺みたいな一年の、ごくほんの一部を除いて、

遥奈先輩と手塚部長が兄妹じゃなくて、ただの親戚関係だって、もう知らない人はいないのかもしれない。


「去年の… テニス部の二年の子達も騒いだんだけどね。リョーマは誰にも聞かなかったんだね」
「……」


けど、それは違う。

そうじゃないんだ。


確か俺はいつか部活中に、同じ事を聞いたんだけど…


「──ああ、手塚と遥奈ちゃん?」
「そうっス」
「クスッ。そうだね、

 ……似てないよね」

上手くはぐらかされたんだ、




…不二先輩に。


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