【long】

□白日
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「似てないと思ったでしょ」
「え…」

ずばり、確信をつく口振りに俺は黙って頷いて。

「前に… リョーマに手塚の人間じゃないみたいって言われた時、すごくビックリしたんだよ?」

「知らないはずなのに」と、

遥奈先輩は少し自嘲気味に笑った後、こちらを見た。

「…っ「だってね、私…」


“だって、ウソみたいな話だと思うじゃん”


俺が弁明の一つでもしようと、口を開こうとした… その前に、

「本当に手塚の親族じゃないし」

遥奈先輩は笑顔を見せて、こう言ったんだ。




「でも、姉弟なの。だからリョーマが言ったのは間違いじゃないよ」
「え?」
「私、養女だから」
「…は…っ?」




俺の頭の中に、予想だにしていなかった衝撃が駆け巡る。




「…養女?」

ただわけが分からなくて。俺はじっと目と、耳を懲らすばかりだった。

「国光とは…

 ほんとは手塚の家とは縁も血も、繋がりなんて何もないの」

「…どういうコト…?」


もしかしたら、

これ以上聞くのは酷かもしれない。遥奈先輩の顔を見たら…

続きを聞く事なんて、もうできそうになかった。けど…


「要するに、赤の他人だって事だよ。

 国光の家の人達は… 親をなくして、孤児になった私を引き取ってくれたの」

遥奈先輩は、俺を認めてくれてるんだ。それを笑って…

全てを晒け出してももう平気なくらい、


それを乗り越えたんでしょ…?


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