企画

□独占欲
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「土方さん。血!」

「うるせぇ。声がでかい。」


大きな声で部屋に入ってきた総悟は周りから見れば意味の分からない言葉を発した。


「ねぇ。もう我慢できないんでさぁ。土方さん。」

わざとらしく甘える総悟は正直物凄く可愛いが、そう簡単にやれるもんでもない。

一言で言えば総悟は吸血鬼。
血を飲んで生きる者だ。

この屯所内でそのことを知っているのは俺だけ。
まさか警察が人を襲って血を飲むわけにもいかず、俺が血をやっている。


「昨日やっただろうが。今日は我慢しろ。」

「そんな殺生な!土方さんは俺が可哀想だと思わないんですかぃ?」

「1日飲まなかったくらいで死にゃしねぇだろ。
だいたい俺の方が貧血で死にそうだよ。」

「だから土方さんだけじゃなくて、他の人からも、」

「ダメだ。」

「……………。」


総悟は俺の隣に座りながらじっと俺を見つめる。

そしてにやっと笑った。


「土方さん、俺に他の人の血吸ってほしくないでしょう?
嫉妬?」

「バカ言うな。」

「素直に言えば土方さんだけのものになってあげてもいいですぜぃ。」


はっと総悟を見ると薄く笑いながらも真剣な目でこちらを見る総悟がいた。


「………他のやつの血は吸うな。」

「へい。」

「俺がお前をずっと守ってやるから。」

「どうも。」

「………好きだ。俺だけのものになれ。」

「もちろんでさぁ。」


総悟は俺に抱きつきながら幸せそうに笑うもんだから、俺もついつい顔をゆるんでしまう。


「土方さんも俺だけのものですよねぃ?」

「当たり前だ。」


抱きついてくる総悟の暖かい体温が心地よく、抱き締める腕に更に力をこめた。

「土方さん…?」

「俺もお前の血が吸えたらなぁ、」

「あっ、っつ…」

目の前にあった総悟の白い首筋にガリ、と歯をたてた。

すると白い肌には少し血の滲んだ噛み跡が残る。

それに満足し、総悟を見ると涙目でにらんでいた。


「なんだ。」

「いたい!何すんですかぃ!血出たじゃねぇか!」

「お前はいつもこんなことしてんだよ。どれだけ痛いか分かったか。」

「…分かりやしたよ。」

「本当にか?」

「うあぁーぶ。」

奇声を発して俺の首筋に甘噛みをはじめた総悟は、本当に分かったのか、と心配になるがとりあえずこの愛しいやつが俺のものになったことに俺は一安心したのだった。



END

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