その他3

□先生には、
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最初は無理にでも理由を作っていた。だけど、今となってはそんなもの必要ない。


『まーた勝手に来とる』

「へへ、ちょっと眠たくて」

『……はぁ、次は授業でぇよ』


眠たいなんて嘘。ただ白石先生に会いたかっただけ。
授業中ぼーんやりと考え事をしていると、ふと白石先生の姿が浮かぶ。そうした瞬間、私は迷わず保健室へと向かう。
そして今日も。


「わかってるよ」

『…自分みたいな生徒には、ほんま手ぇかかるわ』

「ごめんねっ」

『まっ、俺はそんくらいやんちゃなほうが好きやけどっ』


そう言って、包帯の巻かれた左手で私の髪の毛を掻き乱す。
ああもう先生大好き。あまり年の差もないから、身近に感じてしまう。手を伸ばせば、私も先生のさらさらな髪の毛を撫でることができるかな?はたまたその手を頬に添えれば、口づけを交わすことができるかな?うっとり、視線を合わせ考えてみる。


「先生……」

『ん?』

「好き」


視線を泳がせることなく、じっと先生の瞳を見つめる。段々と吸い込まれそうになって、指先を伸ばす。だけど、いつの間にか自分の制服の袖を握っていた。
なんだか気まずくなって目線を落とす。
どうしよう。完全に困らせちゃったよね。迷惑だったよね。でも、今更訂正なんてできない。取り敢えず、もう一度覗き込むように目線を上げる。

突然、先生の細長い指が私の頬に触れて、私は自然とその触れた場所へと目をやる。


「せんせ……」


頬に、温かい感触。


『……今の、ナイショな』


口の前で人差し指をたてて、ニヤリと笑う。
そんな先生が大好きです。





先生には、白衣が、似合うね
(保健室)
(二人だけの)
(恋愛授業)

(20111103)
 

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