企画小説

□マネージャーと映画!
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精市の言いつけ通り、私は帰りのSHRが終わったと同時に荷物を持って駆け出した。校門前に行くと、すでにそこには皆の姿があった。


「早っ!」

『皆自分の命が大切ということナリ』

『仁王?』

『………』


精市の微笑みに、凍りつく空気。
この感覚、何度か味わったような気が……。


『じゃ、行こうか』

「ちょっ…!」


手を握られて、私は腕を引かれるがまま。
取り残された皆は苦笑いを浮かべながら、私に目を向けてくる。

すると…


「……?」

『精市、ゆりなが迷惑がっているだろう?』


精市に握られた左手。そして今蓮二に握られた右手。
精市はそれほどでもないけれど、蓮二はすごく背が高い。平均よりも背が低い私は、更に小さくなった気分。…なんだか泣けてくる。


『ゆりなは別に迷惑がってなんかないよね?』

「えっ?」

『ゆりな、精市なんかより俺と手を繋いだ方がいいだろう?』

「えぇっ?!」

『俺がっ…』

『俺とっ…』

「ちょ、痛い痛い痛いっ!!!」


『…ああなった幸村と参謀は止められんぜよ』

『だな』
『っスね』


遠くから三人を見つめながら、しみじみと思った瞬間であった。






「…ねぇ」

『『ん?』』

「これ…おかしくない?」


なんとか辿り着いたと思ったら更なる困難が私を待ちかまえていた。
座っている私の両側から、とてつもないほどの殺気。
映画が終わるまで、私は生きていられるのだろうか。


『やっぱり、ゆりなが迷惑しているじゃないか』

『精市が横にいることで困っている確率、100%』


まるで私の気持ちなんて察してはくれない。
迷惑だとか、二人が嫌いだとか、そういうんじゃなくて、ただ単に二人のオーラが怖い…。
多分聞いちゃいないだろうけど。


「ほら、もう始まるよ」


後ろで騒いでいたブン太や赤也も黙り込む。

私達が見る映画というのは、今話題のラブロマンスだった。
初っぱなから涙が出てきた私は、両手で涙を拭おうとする…

が、


「………、」


蓮二が私の左手を掴む。
優しく、包み込むように。その、温かい大きな手で。


『ゆりな…』






「…誰か私に話の結末を教えてくれ…」


あれから、両目から零れ出す涙を拭うこともできず、蓮二の手を振り払うこともできず。それどころか、ドキドキしすぎて映画の内容を全くと言っていいほど覚えていなかった。


『教えてやろうか?』

「…えっ、遠慮します!」


まともに蓮二の顔が見れない。ふと視線を逸らすと、そこには精市がいて。なんだか顔は笑っているけど、目が笑ってない!


『蓮二を殺してもいいかな?』

『おおおちつけ!幸村君!!』

『部長!殺人はいけないっス!』

『幸村!早まるんじゃないぜよ!』


必死で精市を押さえつける通称プリガムレッド。


「比呂士…」

『なんでしょう』

「こんなのが、これから一週間毎日続くの…?」

『…でしょうね』


この一週間が私にとってどんなものになるのか、それは私にもわからない。





(20111228)

グーダーグーダーすーぎーるー←
 

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