長編3
□02
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「やっはははらいたあとほふーりははふへつはへ」
『日本語を話せ日本語を』
「しょうがないですね。やっぱ働いたあとのきゅうりは格別だね!」
『今日はウザキャラだね☆』
作り終わったドリンクを籠に詰め込みながら、先輩にレタスを投げつける。先輩のほうがよっぽどうざい。あ、ナルシストじゃないよ。
『あのさぁ、どうでもいいけどぉ、早くしてくんなぁい?ドリンク、運びたいんだけどぉ』
「素晴らしい語尾ののびですね」
『こら彼方』
先輩に口抑えれた。地味に痛かった。
『…お前一人で持ってくのか?』
『そおよぉ?だってぇ、ドリンク配るのがぁ、私の仕事だよぉ?』
『いや、一人で運ぶのは大変だろ?だから…』
先輩、この女がよからぬことを企んでんの知ってて…。
『行ってこい、マイスウィートハニーよ』
お前が行くんじゃないんかーい!
□
『どおぞぉっ』
「どーぞー」
『なんだこのテンションの差は』
先輩に捨てられた私は、このぶっさいくな女、略してぶさおと共にドリンクを配っている。ただでさえ運んでくるのも大変だったのに笑顔なんて振りまいてられるか!
「…ていうかなに?いじめ?私の列に並んでる人数えられるくらいしかいないじゃん」
『俺が並んでやってんじゃん』
「なにその上から目線」
『ほら、後ろに忍足さんずがいんじゃん』
「…侑士も謙也もありがとう。私には君達しかいないよ」
『忍足さんずって、突っ込んだ方がええ?』
「放置の方向で」
『その前に、え、俺にお礼は?』
「黙れワカメ」
もう嫌だ。帰りたい。というかもういっそのこと消えてなくなりたい。
取り敢えず赤也と侑士と謙也にドリンクを渡し、私は背を向けて帰ろうとした。
が。
『俺にもドリンク、くれんか?』
振り返るとそこにいたのは驚くくらいの美形。え、こんな人この世にいるの?え、いちゃっていいの?
「…………」
『忍足彼方、といったかのぅ?』
「…はあ、」
『お前さんに用があるけぇ。午後からは自主練なんじゃ。じゃから、一時に俺の部屋に来てくれんかのぅ?立川もつれて』
初対面の私に何の用があるというのだろう。というかその用とやらはここでは話せないような内容なのだろうか。
「…まあ、いいですけど」
…どうでもいいか。取り敢えず早くこの場から立ち去ろう。
(20120213)