長編2

□脇役の恋
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「夢…」

『ん?』

「高尾君が…高尾君が…」

『落ち着け』

「高尾君がねっ…浮気してるかもしれない!」

『………は?』


なにを言い出すかと思えば。
あの高尾君が?有り得ない。私は思った。え?だってベタぼれだぜ?それはもう、地球滅没レベルで。


『はいはいのろけですね』

「違うの!ちゃんと聞いてよーっ」

『…で、なに?』


彼方は言った。一緒に帰ろうって誘ったら断られる。最近メールも電話もしてこない。てか喋んない。絶対他に好きな子ができたんだよ、と。
そういえば最近、高尾君の姿を見かけないかもしれない。…緑間君も。返事もしてないのに。もうとっくに私の気持ちは決まっているのに。

……あ。


「…どう思う?」

『…本人に聞けば?』

「えっ?」


噂をすればなんとやらってやつですか(私が頭の中で考えていただけですけど)。まぁそんなわけで、高尾君と緑間君が来た。手招きをしている。


『ほら、行っといで』

「うん…」


私に背中を押されて高尾君の元へと駆け寄っていく彼方。すると二人は何処かに行った……けれど、緑間君は相変わらずその場に立ち竦んでいた。私を見つめて。


『田城』

『ん?』

『少し…時間あるか?』

『うん、なに?』

『いや、裏庭で話そう』

『うん』


そう返事をすると、黙って私の手を引く緑間君。その大きな背中を見つめながら、私はそろそろはっきりさせよう、と思った。






『…なんか、久しぶり、だね』

『そうだな』


はじめは他愛もないような話をしながら緊張を解そうと思った。でも思ったより会話が続かない。…なんか喋ってくれ緑間君。


『………』

『………』

『………』

『……だぁぁぁっ!沈黙長いっ!話したいことがあるなら、はっきり言って!』


思わず立ち上がってそう言った。緑間君は驚いたような顔をしていたけど、私はその緑間君の顔に驚いた。…緑間君ってこんなにもころころ表情変えるんだ。


『…では、単刀直入に聞く』

『うん』

『俺のことが…好きか?』

『………』

『…聞き方を変えるのだよ。俺のこと、どう思っている?』


…どう思っているか。そう聞かれれば好きの一言だろう。
でも、なんか言えない。高尾君を好きになったときも、結局言えずじまいだった。だから、気持ちを伝える方法なんてわからない。
どうすれば、伝わるんだろう―――?


『…えっと…その……』

『…その真っ赤な顔は、俺の自惚れじゃないと、そう思っていいのか?』


普段言わないような台詞。うまく言えない私に気をつかってくれているのだろう。
気持ちを伝えられたとしても、ちゃんと言葉で言わなきゃ伝えられないこともある。
そうだ。いつかははっきりさせなくちゃならないんだ。なら今言おう。今じゃなきゃ、言えない気がする。


『…うん…好き、だよ。ずっと返事できなくて……ごめんね…』

『………っ』


お互い顔を真っ赤にしながら俯く。
でもこれで、両思い…になったんだよね?
なんだか、実感が湧かない。


『…取り敢えず、これからよろしくね』

『…ああ、よろしく』


きっとこれが、今の私達にとっての精一杯なんです。





(……え、嘘?)
(だってさー、いつまでも緑間君とくっつかないから私も高尾君も見かねちゃって)
(……ふざけんなあああ!)
(別に私のこと心配してなかったじゃん!)
(……確かに)
(おい)

(20120107)

番外編でしたぁ!相変わらずの低クオリティ(笑)

まぁ結局くっつけることができてよかったです。もし、リクエストなどありましたら気軽に申してください☆
 

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