その他1
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高尾和成
私が今していることって何なんだろうって、そう考える。
今、私は何故だか最近気になる男、高尾和成を屋上からガン見しているのだが、相手はなかなか此方に気がつなかい。まぁ、当たり前か。
気づいてほしい。でも、気づいてほしくない。
私が今思い悩むことなんてちっぽけなことで、何の意味があるんだろうって、自分が行うこと全てに意味があるわけなんかないのにって、自分の存在を否定したくなる。
ただ私はこの気持ちの名を知りたいだけ。ただそれだけなのにね。
「もうー…何が何だかなぁ……」
『なんか悩み事かー?』
「ぅおおっ!?」
寝転がりながら雲一つない空を眺めていた私の視界に広いおでこが入ってきた。
広いおでこをさらけ出している人なんて、私の知り合いで一人しかいない。
「高尾君…驚かさないでよ…」
『ハハッ、ごめんごめん。なんか授業サボろーとか思って屋上来てみたら神崎が居たもんで、ちょっと驚かしてやろーと思ってさっ』
何だか無邪気に笑う彼を見て、怒る気にもならなかった。それに、高尾君と授業をサボれるというのも貴重な体験かもしれない。
「なんでサボろうと思ったのー?」
そう問いかけると、高尾君はんー…、と少し考えながら、私の隣に座り、そのまま冷たいコンクリートの上に寝転がった。
『神崎がこっちを見てるよーな気がしたから?』
にたり、と笑いながらそう言うもんだから、少し恥ずかしくなった。
「ばれてたの、」
『まーな。俺視力いいし』
自慢げにそう言う彼を見て、恥ずかしい反面、嬉しくも感じた。
せっかくだから聞いてみよう。
私が高尾君に感じるこの気持ち。
私は高尾君を考えるたび、何を感じるんだろう。
「ねぇ高尾君。ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
『どーぞ』
「私さぁ、いつ何処にいても高尾君のことばっかり考えちゃって、今何してるかなとか、さっき屋上から見てたときも、高尾君を発見して嬉しくなったり、今こうしているのも、実はすごい恥ずかしくて胸がなんだかすごい痛くて、病気、なのかなとか思うと怖くなって、私どうしたら『プッ!あははは!』
「え…?」
いきなり大声をあげて笑い出す高尾君を見て、なにかおかしなことを言っただろうかと少し焦る。
「なんか、変なこと言った…?」
『お前、それ無自覚?』
なんのことだかさっぱりわからず、首を傾げる。そうすると、高尾君はまた口を開き、淡々と話す。
『やっぱねー。神崎さ、俺のこと好きだろ?しかも初恋』
「…へ……?」
『しかも初恋は実らないってよくゆーけど、俺も神崎のこと好きだし、なんか運命じゃね?』
話の展開についていけず、ただポカンとしていた。
するとそんな私を見てなのか、高尾君の表情が真剣なものへと変わったため、私は高尾君を見つめた。
『まっ、わかりやすく言うと、友達以上にお互いを想ってるっつーこと!わかる?』
「…そーなの?」
『そーなのだよ!』
ふざけて緑間君口調でそう言う高尾君を見て、今の彼の行動をあとで緑間君に言ってやろうと思った。
初恋
(「初」めてのことに戸惑いながらも)
(ずっと貴方に「恋」していたい)
(20110514)