その他1
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伊月俊
「夢!聞いてください!ついに、ついに!あれを手に入れました!」
『え!?あれを買ってもらったの!?』
「はい!これで毎日夢と話せます!」
『そうだね!』
私は先日、お母さんにやっと携帯を買ってもらった。
ずっとずっとお願いしていたのに、あのくそばばあの脳みそにはマシュマロしか詰まってなかったため即却下。
くそやろー覚えてろよ。
この恨み、忘れない。
まぁ、今私の手には私の携帯がある。
そこまで気にしないこととしておこう。
………というかさっきから誰かの視線を感じる。
誰か、とは言っても、その誰かはすごい真剣な眼差しで此方を見ているのでまるわかりだった。
「ねぇ伊月。さっきからなんでこっち見てんですか?」
『え?俺、そんなに見てたか?』
「はいすごく。まさか………あー、わかりました。夢のメアドが欲しいんでしょ。さっきそこでメアド交換してたから」
『違ぇよ、』
「じゃあなんでですか?」
私がそう言うと伊月はにこっと笑い私の腕を掴み自分の方へ引っ張る。
鼻と鼻が、
おでことおでこが、
唇と唇がくっついてしまいそうなほど、
私の目の前には伊月の顔がある。
『俺は彼方のメアドが知りたいなぁと思って』
「………へ?」
恋の予感
(いきなり)
(名前呼びとか)
(やめてください!)
(……恥ずかしいじゃないですか、)
(20110325)