はな.きみ

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「アメリカからってさぁ」



「目とかめっちゃ青いのかなそいつー!」



「ちげーよ、黒人で2メートル近くあるんだよ」



「そんなわけねぇーだろ」



今日は朝から転校生の話題でもちきりだった。
ありえもしない想像、というか妄想?で盛り上がって笑い合う。
そんな中俺は欠伸をして皆の話しを聞いてんだけど。




「ふぁ・・・皆朝から元気だよね。眠くないのかな」


「眠さより期待の方が勝ってるんでしょ」


「・・・そんなもん?」


「そんなもん」



友達の大樹が独り言の様な俺の問いに答えてくれた。


うん、優しい。


転校生も来ないことだしもうひと眠りしようかと思った時、大きい音とともに教室の扉が開く。


皆一斉に立って扉の方を見ている。



「おっす」



予想と大きく違う外見にクラスからちらほら笑い声が聞こえる。


可愛いじゃんかー。


筋肉ムキムキの人が来るより全然良いよ。



「芦屋瑞稀、転校生だ」


「眉毛整ってるし!」


「靴かたっぽねぇし!」



茶化すのもいい加減にしろよなー、もう。


感じ悪すぎ。


そんなことを思ってる間も秀一が転校生に話しかけている。


へー、カリフォルニアから来たんだ!


って何処なのか良くわかんないけどっ!



「ねぇねぇ、心。カリフォルニアって何処ー?」


「え、カリフォルニアも分かんないの」


「・・・悪いか」


「はぁ、世界地図見て探せ」


あらら、あきれられた。



「前髪、もうちょっと自然に流した方がいいかなー・・・うん、僕とはるの次に可愛い!」



「・・・はる?」



「え?」



転校生がクラスの中をぐるっと見て私のところで視線が止まった。



「はるって君?」



「あー、うん!俺花草はるっよろしくね、転校生!」



「転校生って言わないの、さっき名前言ってたでしょ」



「はーい、ごめんね。瑞稀」



後ろに居る大樹に注意されてしまった。


確かに転校生って言うのは悪かったかも。



「お、おう」


「これから仲良くしようね!」


「あぁ!よろしく!」


瑞きもいい子っぽいし、これから仲良くなれれば良いな。


「君、変わったオーラしてるね」


「オ、オーラ?」


「君のオーラでバランスが崩れたせいかな・・・ざわついてる感じがする」



瑞稀かー、女の子みたいな名前してるよね。


って言うか正直女の子にしか見えないんだよなぁ。


聞いてみようかな、もし男の子だったら失礼だけど。


考え事してたらいきなり教室が暗くなった。


え、え、え!?停電!?



「ぎゃああああああ」



千里の悲鳴が一番怖いけどね!


って、扉どんどん言ってるよ!?



「秀一ぃいいい!!!どうして暗くなったんだよー!」



「し、知らねえよ!ゆ、幽霊とか?まさかな!」



「へ、変な事言わないで・・・!!」



秀一とか心とか大樹とか、皆が固まっている場所に私もしがみつく。


皆がさわぐ声とともに扉が開いた。




「んっだよ!佐野かよ、脅かすなよ!!」



「これ建てつけわりぃな」



あぁ・・・そう言えば確かに扉開けるとき引っ掛かったかも。


強張っていた肩をおろすとそれを見た秀一がにやりと笑った。



「はる怖かったのかー!よしよし、怖かったでちゅねー!」



「なっ!秀一だって俺以上に怖がってたじゃねーかよ!俺だけとか、むかつく!」



「どっちもどっち、ってことで」



「納得いかない!!」



大樹はそう言うけど、結局馬鹿にされたのは私だけじゃん!


頬を膨らませながら席に着くと瑞稀と話していた泉が俺の顔を見て一言。



「はる、顔が残念なことになってるからやめろ」



「・・・はぁあああ!?ちょっ、何それ!聞き捨てならないんですけど!!!!」




それから泉と瑞稀が会話して、


それについて皆で冷やかして、


皆と瑞稀が話してるのを聞いて、


一日が始まる。



そんな、毎日!


(ないすちゅみーちゅー!)

(はる、発音悪すぎ)

(瑞稀が言うんだからそうなんだろ!)

(黙れ秀一)
 

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