はな.きみ

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「梅田!はるが・・・」



「あぁ、ベットに寝かせとけ」



「はぁ?ちょ、見ねえの?」




南先輩が居るから見れないって言うことか。


確かに診察したら女ってバレちゃうもんな。



「みなみ、先輩。大丈夫ですから」



「でもよ」



「早く行け」



「せんぱい」



南先輩がしぶしぶと言った顔で俺をベットに寝かせて医務室を出ていく。



「はる、梅田に何かされそうになったら叫べよ!」



言うだけ言って去っていった南先輩を見ていると
梅田先生がベットの隣にあるイスに腰かけた。



「言うことは」



「・・・すみません」



「お前、もう一回発作起きたらしらねぇぞ。今回は軽いから良かったけどな」



「はーい」



「わかってないだろ」



薬と水の入ったコップを渡された。


・・・飲めということか。


寝ている体を起こして薬を飲む。


薬を飲み終わるのと同じぐらいに医務室の扉が開いた。



「はる!!」



「心・・・」



焦ったように俺が寝ているベッドまで寄ってきて梅田先生に声をかけた。



「北斗さん!はるは、」



「軽い発作を出しただけだ。まぁ次はわからんがな。それよりここで俺の名前を呼ぶな」



梅田先生、北斗は私の従兄で、
心からしたら幼なじみの従兄なのだがこれが結構仲が良い。


北斗くんも心とをまんざらでもない様子で遊んでいたのを覚えている。



「・・・はる、何で球技大会に出たの」



「・・・ごめんなさい」



「どうすんだよ・・・死んだり、したら」



言いにくそうに表情を歪めた心が私を抱きしめてきた。


今回は何も言わなかった私が悪いからちゃんと謝っておくことにする。



「死んだりしたらって・・・心、いつかは私、死ぬんだよ?」



「死なねえよ!死なねぇって・・・」



「・・・心」



私を力強く抱きしめてくる心に
どうしようかと北斗くんに視線を向ける。
気が付いているのかいないのかは知らないけれど
北斗くんも心の肩に手を置いて落ちつくように視線で訴えてくれた。



「こればかりは誰もわかんねぇよ、心。はるが助かるかはドナーが見つかるか見つからないかだ」



「でもっ!」



「心。もうこの話はやめろ、わかったな」



黙った心が思いつめたように顔を伏せた。



「心、寮にはるを連れて帰れ。他のやつらには事情を話しておくから」



「・・・ん」



ゆっくりと立ち上がった心が私を背中に背負ってくれた。



「ありがとう」



「・・・うん」



静かな廊下には心の歩く音だけが小さく響く。


きゅ、と顔を埋めるように心にしがみつけば心もこっちをちらりと見てまた視線を元に戻した。



「何で私の心臓は弱いんだろうね」



「・・・」



「私が弱いからかな。もっと強くなれってことかな。でもこれ以上私は強くなれないよ」



「・・・はる、弱くて良いんだよ。はるが弱い分、俺たちが支えるから」



「心は、優しいね」



「・・・当たり前だろ、幼なじみなんだから!」



「違うよ、幼なじみなだけなのに、ありがとう」



「っ、おう」



心が前を向いているからどんな表情をしているのかは分からないけど、
弱くて良いと言ってくれた心に救われたのは事実だ。


いつも隣で支えてくれたのは、他でもない心だから。



「大好きだよ、心」



「・・・俺も」





likeかloveか、


(お前がどっちの意味で言ったのかはわかってる)

(だから俺の思いが届くことはねぇんだよな)


**
すみません、梅田先生は従兄と言うことになりました…
一応ネタバレになるので書かなかったのですが、従兄設定とか嫌だった方は申し訳ありません!
 

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