はな.きみ

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「…芦屋は変わってるな」


ほんと、変わってる。



「え?…萱島に言われたくないよー」



「そうじゃなくて…はると中津みたいに変わってるって事」



「…?」



「俺はずっと、自分の力を人に知られないように、出来るだけ人と関わらない様にしてきたんだ。
…怖がられたり、興味本位で近づかれるのが面倒でさ」


そう、あの頃の俺は、心を閉ざしてばっかりだった。



「でも、はると中津は、俺を珍しがる事も無く、するっと俺の近くに来てた。
…君みたいにね」


芦屋も、はるも中津も…此処に居る皆も、暖かくて、優しいんだ。



「高1の時、俺が自分の力を隠そうとするとさ、」



「何で隠すんだよー、他の誰が何と言おうと俺はお前を信じてる訳で、それじゃ足んねぇの?」



「…いや、」



「私も信じてるよー? 私と秀一がついてるんだからだいじょーぶ! ね!」



「うん」





「それにさ、お前が本当の自分を隠したら俺は永久に本当のお前には逢えないって事だろ? そんなの寂しすぎる! って…
はるなんて、大樹が本当の顔見せてくれないなら私が本当の顔見せてるの恥ずかしいじゃんかー! 大樹が本当の顔見せるまで私は大樹の傍に居るからね!
って…、いきなり名前を呼び付けにされてさ、吃驚したよ。
俺の名前知ってるんだー…って、はるは有名だったから余計ね。
中津もだけどさ」



あの2人は本当に、優しくて、明るかった。



「それから俺は、見える事をちょっとずつだけど、オープンにするようになって。
そしたら、俺を普通に受け入れてくれる友達が出来たんだ。
自分を開かなかったら、俺はきちんと人と繋がることを知らないままだったんだろうなぁって…そう思うんだ」



この思い、どうか芦屋にも届きますように。
受け入れてくれた皆が俺を救ってくれた様に、今度は俺が、皆を少しでも支えたい。
それが出来ますように。



「わぁ、」



「ど、どうしたっ!」



「復活したー!」



「んっ…あ、かるい…、」



「はるー! 電気復活したぞー!」



「え、ほんとですかっ…あ、ほんとだ! クーラーも付いてますね、やった!」



…願わくば、君がずっと笑顔でいれますように。
なんて、少しかっこ良すぎるかな。
それでも、それは俺の素直な気持ちなんだ。



「大樹ー! 電気復活したよー!」



「…うん、良かったよね」



「冷房嬉しい!これで快適に寝れるねー」



へにゃりと笑ったはるの、君の笑顔があるだけで俺は、凄く幸せな気持ちになるんだ。



「はるも萱島もこっち来いよー!涼しいぞーう!」



「おう! 行く行くー! あ、でも秀一の隣に居ると暑苦しいからやだなー」



「おいこの野郎っ、俺の隣だと暑苦しいって何かな、ん?」



「そのまんまの意味さきらっ、」



「きらっ、じゃねぇよ! きらって何だよ!」



「あ、ほら大樹が引いてるから止めなさい、秀一ちゃん?」



「ちゃん付けすんなこらぁ」



「大樹ー! いっくよー!」



「うん」



中津とはる。
2人は俺にとって、凄く凄く大切な、






友達、だ。
この気持ちは嘘じゃない。
…多分、ね。



***
短くてすいません、会話文ばっかりですみませぬ。
この回は一応、萱島くん目線です(´・ω・`)
29.5話って事でうpしようかと思ったのですが、電気復旧は無きゃなぁって事で一応30話にしました。
祝30話なのにこんなんですいません←
でも個人的にこのシーン大好きです←
 

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