小説

□俺の女に手を出すな
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カナ・アルベローナ…同年代の魔導士の中では、言わずと知れた一番の古株だ。

高い身長からスラリと伸びた手足。出る所はしっかり出たメリハリのあるスタイル。
そして、艶やかで美しい黒髪。まさにエキゾチック・ビューティーという形容がふさわしい。
その外見からくる神秘的なセクシーさに加え、男勝りで姉御肌な性格と相まって、彼女は不思議な色気を醸し出していた。

いつものように恐ろしい程の量のアルコールを流し込みながら、彼女はルーシィと楽しげに語らっていた。
そこへエルザが通りかかり、「カナ、もう程々にしておいたらどうだ?」と苦笑しながら諌めたが、彼女はどこ吹く風で笑い飛ばした。エルザも、それ以上深追いはしない。
そんないつもの光景を、ミラジェーンが微笑ましげにカウンターから見つめては、時々会話に加わっている。

レビィは、同じテーブルにいながら全く言葉を発する事なく、自分とは正反対ともいうべきこの女性を、先程から頬杖をついてじっと見つめていた。


「どうしたレビィ、やけに大人しいね。何か考え事かい?」

視線を感じたカナが、突然レビィに話を振ってきた。
心なしか目が潤み、頬がほんのりと上気している。彼女にしては珍しく、かなりでき上がっているようだった。

「へっ!?あ…ううん、な、何でもないよ!」

完全に不意をつかれたレビィは、素っ頓狂な声で慌てて否定した。

「ふぅ〜ん……ま、いいけどさ。ところでアンタさぁ、S級試験の時ガジルと何かあったの?」


ボンッ!!と音がしそうな勢いで、レビィは茹で蛸のように真っ赤になった。

「あはは、わっかりやすいねぇ!悪い悪い、ちょっと鎌かけちゃったよ。……で?実際どうなのさ」

「ええっ、なになにレビィちゃん!!アイツに何かされたの!?」

「ほう、なかなか面白そうな話だな。どうなんだレビィ??」

「あらっ、私も聞きたいなぁ。」


次々に畳み掛けられて完全に否定する機会を失い、レビィは観念したように大きな溜め息を吐いた。
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