裏小説
□She makes me go ape!!/side B
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「フンフンフ〜ン、ラララ〜♪♪♪」
レビィは、浴室で体を洗いながら、上機嫌で鼻歌を歌っていた。
ここ最近はガジルの仕事が忙しく、なかなか休みが合わずにすれ違いが続いていたのだが…
明日は久々に、二人揃っての休日だ。レビィは今日の夕方からガジルの部屋を訪れ、彼が戻る前に早めの入浴をしているのだった。
「もうすぐ、帰ってくる頃かな…?」
レビィは最後にバスタブに浸かり、明日は二人でどうやって過ごそうかと、あれこれ思いを巡らせていた。
嬉しさで、自然と口元が綻ぶ。
……その時。
突然、浴室のドアが勢いよく開いた。
レビィは心ここにあらずで、不覚にも脱衣所の気配に全く気付いていなかったため、そこに立っていた一糸纏わぬ見慣れた男と目が合っても、しばらく状況が把握できなかった。
「……へっ?ななな何??」
「今そこで夕立に会って、濡れちまったんだよ。入るぞ。」
は、入るぞって…そんな重大発言をサラリと言われても……;;
呆然としているレビィを尻目に、ガジルは彼女に背を向けて、腰まで伸びた長髪をシャンプーでガシガシと洗い始めた。
この男の強引な所は、いつもの事だ。逆にそれが、彼女にとってはいい所でもある。
レビィは諦めたように首を横に振ると、改めて自分に向けられた恋人の後ろ姿をジッと見つめた。
引き締まった、逞しい背中。
こうして明るい所でまじまじと見ると、日頃彼女を抱く太い腕の筋肉の筋や、痛々しく刻まれた傷痕の一つ一つがハッキリと見てとれた。
レビィはドキリとして、思わず目を逸らした。
(やだ…何かのぼせてきちゃった;;)
慌ててバスタブから上がろうとするが、この明るい光の下で全てを見られるのは、彼女にとってはまだ抵抗があった。
どうする事もできず硬直している内に、ガジルは体を洗い終わったようだった。
「おい、そんなに浸かっててのぼせねぇのかよ?」
全く、誰のせいだと思っているのか。
だが、この微妙な乙女心を彼に分かれと言っても無駄かもしれない。
彼女は少しムスッとしたまま黙って頷くしかなかった。
「んじゃ、もっと前に詰めろよ。」
ま、まさか…いや、そのまさかだ。
彼はザブリとバスタブに足を差し入れると、後ろからレビィを抱え込むように座り込んだ。
ガジルの懐にスッポリと収まる格好になり、レビィはますます身動きがとれなくなった。
緊張のあまり息苦しくなり、心臓の鼓動が、いつもの倍ほどの早さにも感じる。
「も、もう雨は止んだの?」
「…ああ。夕立ってのは、すぐに止むもんだろ?」
「そっそうよね、あははは;;」
しばしの間、沈黙が続いた。