リクエスト作品

□はじめての おかず
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少し恥ずかしがりながらも、レビィは事の顛末を正直にミラに打ち明けた。

「あら、素敵じゃない!ガジルきっと喜ぶわよ。…そうね、ちょっと待ってて。」

そう言って、ミラは一旦カウンターへと戻っていった。
何やらゴソゴソと探し物をした後、彼女は一冊の料理雑誌を抱えて、レビィのいるテーブルまで戻ってきた。

「これはね。私がお料理を始めた頃、最初に買った本なの。もう使ってないから、レビィにあげるわ。よかったらこの中から選んでみて。」
「本当!?ありがとう、ミラ!!」

レビィは感激して、『大切な人に作りたいvvv初めてのおかず』という題名のその本を、パラパラとめくってみた。

そこに載っていたのは、ハンバーグやエビフライ、オムライスといった定番メニューばかりで、大きな写真付きで丁寧に手順が書かれていた。
なるほど、これなら初心者のレビィでも失敗がなさそうだった。

「う〜ん、迷っちゃうなぁ…あっ、このグラタンなんてどうかな??」
「いいんじゃない?ホワイトソースさえ失敗しなければ大丈夫よ。見栄えがよくてボリュームもあるしね。」
「よしっ、じゃあこれにしようっと!リリーも、グラタン嫌いじゃないでしょ?」
「ああ〜……そういえば日曜日は野暮用があって、帰りが遅くなるんだ。二人でゆっくりするといい。」
「えっ!?そ、そうなの……!?」


これまで何度となくガジルの部屋を訪れた中で、べつに二人きりの状況が無い訳ではなかった。
リリーも最近では、ガジルとばかりではなく「エクシード隊」で仕事に出かける事もある。

だが今回は「初めての手料理をふるまう」という特別な状況があったので、リリーがいないと知って、レビィは急に気恥ずかしくなってきたのだった。
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