リクエスト作品

□病める時も健やかなる時も
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食事が部屋に運ばれてくるまで、そのままグッスリと眠ってしまっていたらしい。
ピッタリと寄り添って寝ていた所を旅館の人間に起こされ、少し恥ずかしい思いをしてしまった。

運ばれてきた食事は量はそれほど多くなかったが、種類がとても多く、見た目も味も上品で繊細で、
この国の豊かな食文化をうかがい知る事ができた。

「これ、なにで作ったんだろうね?でも美味しい〜!!」

「確かに、うまい…けど、何食ってんのか分かんねぇな;」

食事と会話をゆっくり楽しんだ後、せっかくだからと露天風呂に入ってみる事にした。
それは部屋付きのものにしてはとても広く、体の大きなガジルでも十分に足を伸ばす事ができた。

「フ―――ッ……いいな、これ。」

「うん、気持ちいいねぇ……。」

「家建てたら、庭に作っちまうか?」

「本当!?やったあ♪」

柔らかい黄色の間接照明が、綺麗に手入れされた庭を浮かび上がらせ、幻想的な雰囲気を醸し出している。
それを背にしてニッコリと微笑むレビィは、息を呑むほど綺麗だった。
ガジルは思わず彼女を抱き寄せ、しっとりと汗ばんだ頬にそっと口付けた。

「や……っ、ガジル、ここじゃダメだよ…///」

「…わぁってるよ!!これ以上はしねぇって。」

風呂から上がると、2人は旅館に備え付けの浴衣に袖を通した。
レビィはもちろんとても可愛らしかったが、思いのほかガジルにも浴衣がとてもよく似合っていた。
濡れた黒髪を無造作に垂らし、少し着崩れた胸元から鋼のような筋肉がチラリと覗いていて、何ともセクシーでエキゾチックだった。

それから床に入るまでの間、縁側に並んで座り、火照った体を冷やしながら、二人は尽きることのない話をした。



翌日からも、2人はほとんど旅館とその周辺でゆっくりと過ごした。
もともと観光が目的ではなかったので、歴史ある東洋建築の立ち並ぶ町並みをブラブラと散歩した程度だったが、それでも十分にこの異国の情緒を感じる事ができた。
初めは「東洋」にあまり良いイメージの無かった(グリモアハートの一件以来)ガジルだったが、実際にその空気に触れてみて、悪いイメージはすっかり払拭されたようであった。
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