リクエスト作品
□この小さな温もりを
3ページ/5ページ
その日の仕事を終えたガジルは、相棒のリリーと共にギルドへ帰る道すがら、今朝ミラジェーンと交わした言葉を思い返していた。
アイツが、泣いていた……。泣かしたのは、誰あろうこの俺であるという。
それを思うと、刺すように胸の奥が痛んだ。何とも居心地の悪い気分だ。
「おいガジル、聞いてるのか?おいっ!!」
次の仕事の話をしても上の空なガジルに、リリーは念を押すように言った。
「ああ……悪ィ、何でもねえよ。」
「そうか。ならいい。」
「……お前、何も聞かねぇのか??」
「悪いが、人の恋路に口を出す趣味は無いんでな。」
「な…っ///何でオメーに分かんだよ;;」
「さあな。どういう訳か、お前の考えている事は大体分かる。他の者はどうか知らんが、そろそろお前との付き合いも長いからな。」
「クソッ…どいつもこいつも……;;」
「だが…仕事に差し支えるとなると、話は別だ。何があったか知らんが、おおかたお前があの子を泣かしたって所だろう。自分のした事の後始末くらい、とっとと片付けたらどうだ?」
「……お前に言われるまでもねぇよ!!!」
「それは頼もしいな。」
そうだ。こればっかりは、アイツに投げる訳にはいかねぇ。
男として、俺自身が答えを出さなきゃならねぇんだ。
何より、アイツの泣き顔は…もう絶対に見たくねえ。