リクエスト作品

□この小さな温もりを
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―――気が付くと、何もかもかなぐり捨てて、レビィを背後から強く抱き締めていた。

突然の事にレビィは頭が真っ白になったが、何が起きたのか理解すると、一瞬にして全身の体温が沸騰したように熱くなった。


「な、な…っ!!ちょっとガジル、離して…。みんな見てる……よ///」

「構う事ァねぇ!!!!!」

耳元で張り上げられた力強い声に、レビィの身体がビクリと震える。


「いいから黙って聞いとけ。俺は…見ての通り、惚れた女に肝心な事も言えねぇ、格好悪ぃ男だ。こういう時、お前に言ってやれる言葉も……何一つ持ち合わせちゃいねえんだよ。」

「ガジル……。///」

「何と言われようと、俺にはこれしかねぇ!!!」

そう言うと、ガジルはレビィをより一層強く抱き締めた。
遠くの方から「おお〜っ!」というどよめきが起こったが、ほとんど耳に入らなかった。


不器用だが、ひたむきで嘘の無いガジルの行動は、頑なになっていたレビィの心をまっすぐに貫いた。

―――彼のような人間に、ここまで言わせてしまった。
もう、つまらない言葉なんてどうでもいい。自分は何て罪深い人間なのだろう。


「…私、あなたの彼女だって……思っててもいいのかな///?」

「……おう。」

「本当に…信じてもいいの??」

「何度も言わせんな。」


ミラジェーンが、背後で「80点」と呟いた声を、ガジルの鋭い聴覚が拾い上げた。
ギリギリ及第点という事だろうか。
20点の減点分が気にはなったものの、今はただ、やっと手に入れたこの温もりを二度と逃すまい、とガジルは思った。


この出来事は、後々までギルドの中で語り草となり、彼らの子供達の世代まで語り継がれてゆく事になるのだが…それはまだ、遠い未来の話である。


--END--


***************

本誌で「ガジルのバカ」を読んだ時、その衝撃もさる事ながら、私はレビィちゃんの意外な子供っぽさに驚きました。
だって大事な試験の最中に、「もっと私を見てよ!!」「もう知らない、ガジルのバカ!!」「大っ嫌い!!」ですよ!?
それまで彼女は賢くてしっかり者のイメージが強かっただけに、余計にビックリしました。
ここで、「こと恋愛に関しては、子供のようになってしまう」というレビィちゃんのイメージが、私の中で固まりました。
ですから、ウチのガジレビは、どちらも恋愛に関しては青臭いです。
そんな二人が、不器用ながらも手探りで自分達だけの形を作り上げていく…というのが理想です。
このお話はリクエストを頂かなければ書かなかったかもしれないので、改めて原点を思い出させてくれたYU様に感謝です。
素敵なリクエストをありがとうございましたvvv
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