リクエスト作品

□ようこそ、この素晴らしき世界へ
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『ああっ、嫌だねぇ。人間くさくてたまらん!!』

数年前に不本意ながらもこしらえた「診察室」から、ポーリュシカが突然姿を現した。
ガジルは、彼女の事は人づてに聞いていたものの、実際に顔を合わせるのはこれが初めてだった。
彼女の纏う独特の緊張感が、一瞬にしてその場を支配する。
ガジルとドロイは、無意識のうちにピンと背筋を伸ばしていた。

「……まぁ、純粋な人間ってわけでもないようだね。」

ガジルとリリーを交互に見つめると、彼女は小さく呟いた。

「レビィが、世話になった。」

腿に手を置き、自分に向かって深々と頭を下げるガジルを、ポーリュシカはジロリと睨んだ。

「一応礼儀はわきまえてるようだね。…あの娘の旦那ってのは、アンタかい?」

「そうだ。……で、レビィはどうなんだ??」

「どうもこうもありゃしないよ。ありゃ、私の手には負えないね。……あんた、身に覚えは??」

「アァ!?どういう意味だよ!!」

「どういう意味かだって??まったく…あきれた朴念仁だね;;アンタの奥さんが妊娠してるって言ってんだよ!!」



「「「……………は?????」」」



「……ったく、大の男が揃いも揃ってバカ面下げてんじゃないよ。もう目ぇ覚ましてるから、早いとこ行ってやりな!!」

全く予想もしなかったポーリュシカの言葉に、しばしの間3人の時が止まる。
そんな中、最初に我に返ったのはドロイだった。

「な、何だよ…ハハッ!!めでてえじゃねえか、なぁ!?」

「…そうだ!お前、子供を欲しがっていたじゃないか。さあ、早くレビィの所へ行ってやれ。」

ドロイとリリーに交互に背中を押されたガジルは、宙に視線を泳がせながら、覚束ない足取りで奥の部屋へと歩き出す。

「……さてと!!みんな心配してるだろうし、一旦ギルドに戻るか。リリー俺を連れてってくれるか?歩いて行けない距離じゃねぇけど、早く皆に知らせてやろうぜ!」

「ああ、お安い御用だ。」

去り際に、ドロイが「しっかりしろよ、親父!!」と叫んだが、その言葉がガジルの耳に届いていたかどうかは分からなかった。
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