リクエスト作品

□白衣の悪魔と青い髪の天使
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体中の焼けるような痛みで、目が覚めた。

……どこだ、ここは…??
ああ、そうか。初めて行ったSS級クエストで、ドジ踏んじまって…仕事は何とか片付けたものの、この有様ってわけだ。

つい先日、俺には生まれて初めて「彼女」というやつができた。世間一般的には、そう言うらしい。
だが、アイツは…そんな安っぽい言葉で片付けられるもんじゃねぇ。
今まで会ったどんな女とも違う、大事な…大事な女だ。
どうにもしまらねぇ告白だったが……いや、俺の体裁なんざどうでもいい。
もっと、もっと強くなりてぇ。太陽のようなあの笑顔に、一点の曇りも無いように……。


「失礼しま〜す、お食事とお薬お持ちしましたよvvv」

甲高い声に、思考を遮られる。
彼はベッドからゆっくりと身体を起こすと、ジロリと看護師を睨んだ。


「ハイ、ではお名前をおっしゃって下さい。」

「……ガジル」

「フルネームでお願いしまぁす!」

「………ガジル・レッドフォックスだ。」

「ありがとうございます。では、お食事とお薬が済んだら確認に参りますので、ナースコールを押して下さいね。」

「…おい、毎回これやらされんのかよ?ガキじゃあるまいし、薬の管理くらいテメェでやらあ。」

「面倒かけてごめんなさいね。でも、ちゃんと確認するのが規則ですから。」


慣れっこだとばかりにピシャリと言われ、ガジルは小さく舌打ちを一つ鳴らした。
食事と薬を所定の位置にテキパキとセットすると、「では、ごゆっくりvvv」と言い残し、若い看護師は去って行った。
カーテンの向こう側から、2〜3人の看護師達が何やらキャアキャア騒ぐ声が聞こえる。


「もう、久々の若い患者さんで気合入っちゃうわぁ〜。」

「そこの部屋のガジル君でしょ?怖い感じもするけど、ワイルドでちょっと素敵よね〜vvv今日の夜の検温、アタシが行っちゃおうかしら。」

「ちょっと、あんた今日は早番でしょ!?抜け駆けはダメよぉ!!次はアタシの番だからね!!!」


かしましい声が傷口に響いた気がして、大きく溜め息を漏らす。
ガジルは、彼の大切な青い髪の少女に思いを馳せつつ、そろそろと食事に手を伸ばした。


「痛っ………!!」


スプーンを取った手に、鋭い痛みが走る。
それも無理からぬこと、両手の骨にヒビが入っているのだ。
先程の看護師が「まだ大変でしたら、お食事は介助しますよvv」と言っていたが、とてもそんな気にはなれない。
あきらめて再び横になろうとした、その時だった。
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