リクエスト作品

□白衣の悪魔と青い髪の天使
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「ガジル、大丈夫?入るよ……??」


少しだけカーテンを開き、レビィがひょっこりと顔を出した。
初めて恋した少年のように、胸が躍る。ガジルは、それを悟られないよう努めて平静を装って訊ねた。


「……おう。お前、一人かよ?」

「うん。みんな心配して来たがってたんだけど…いきなり大勢で押しかけるのも何だから、様子を聞いてから来るって。…うわぁ、ひどい怪我……。」


包帯だらけのガジルの姿を見て、レビィは辛そうに表情を歪めた。


「……そんな顔すんなって。見かけほど大した事ァねえよ。」


大きな手でクシャッと髪をひと撫でされ、レビィは嬉しそうに頬を赤らめた。
ふと、ベッドサイドに置かれた手付かずのままの食事が彼女の目に止まる。


「まだ、食欲は無いの??」

「いや。スプーンがうまく掴めねえんだ。」

「だめだよ、ちゃんと食べなきゃ!!私、食べさせてあげるからこっち向いて。」


ごく自然にそう言われて一瞬怯んだものの、拒否する気は全く起こらなかった。
レビィが食事をすくい上げ、「はい、あ〜んして?」とスプーンを差し出すと、ガジルは大人しくカパッと口を開けた。
口の中が切れているためか、まだドロドロの流動食だったので、咀嚼せずにゴクリと喉を上下させて何とか胃に流し込む事ができた。
レビィはそれを見て胸がドキドキしてきたが、それが何故なのかは分からなかった。
結局ガジルは、そのまま子供のようにレビィに薬まで飲ませてもらったのだった。


「疲れたでしょ。少し横になったら……?」

「ああ。すまねぇな。」


ガジルがベッドに横たわると、レビィは自分の近況やら、ギルドの仲間達の相変わらずの日常やらを、それはそれは嬉しそうに話し始めた。


愛らしい笑顔。
清潔感のある、甘い香り。
鈴の転がるような話し声も、その全てが心地良い。
体中に刻まれた傷が、たちどころに癒されてゆく。


(……………天使だ。)

大げさではなく、彼女の背中に大きな羽が見えた気がした。
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