リクエスト作品
□お月様は知っている
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いつものデートの締め括り…のはずだった。
夕食をとろうと居酒屋風のレストランに立ち寄り、食事と会話を楽しむ。
好奇心からか、レビィが突然「私もたまには、お酒飲んでみたいな♪」などと言うので、ガジルは驚いた。
付き合い始めてからというもの、彼女がアルコールを口にした所など一度も見た事はなかったが、
(一杯くらいなら、大丈夫だろう)
と考え、軽くて口当たりの良い「ミモザ」というカクテルを、レビィの為に注文したのだった。
「あ、これ…ジュースみたいで美味しい!これなら、私でも大丈夫かも。」
飲み易さのせいか、あるいはその日ガジルの部屋に泊まる事になっていた安心感のせいかもしれない。
レビィは、あっという間にカクテルを一杯飲み干してしまった。
「おいおい、お前本当に大丈夫かよ。めちゃくちゃ顔赤ぇぞ??」
「えーっ?らいじょうぶらよぉ〜vvvvv」
「ロレツまわってねぇじゃねえか!!……ったく、しょうがねえな;;」
帰ろうとして立ち上がったものの、案の定フラフラとして足元がおぼつかない。
まさかここまでアルコールに弱かったとは。
見かねたガジルは、勘定を済ませて店の外に出ると、おもむろにしゃがんでレビィに背中を向けた。
「おら、おぶってやるから来い。」
「ええっ、恥ずかしいよぉ!!ほ、ホントにらいじょうぶ、らから……。」
「ンな千鳥足で、大丈夫なわけあるかよ!?いいから、黙っておぶさっとけ。」
「……………はぁぃ///」
広い背中にしがみつくと、ガジルはひょいと立ち上がって歩き始めた。
ヒンヤリとした夜風が、火照った頬を優しく撫でてくれる。
(ガジル、大好き………。)
声にならない呟きは、彼の耳に届いたのだろうか。
零れ落ちそうに真ん丸い月が煌々と輝き、2人の背中を追いかけるようについて来る。
レビィはそのまま、安心しきって眠りについたのだった。