リクエスト作品

□今は、それでいい
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新しいメンバーといえば、もう一人。
ジュビアと共に「幽鬼の支配者」からやって来た、鉄の滅竜魔導士ガジル。

彼がフェアリーテイルに加入したと聞いた時、レビィは背筋の凍る思いだった。
何せ、初対面でボロボロに痛めつけられ、磔にされるという最悪の出会いをしたのだから無理もない。
一度身体に染み付いてしまった恐怖は、そう簡単に消えるものではない。
これまでも、そしてこれから先もずっと、仲良くなんてできない。
それどころか、まともに話をする事もできないだろうと、そう思っていた。

だが、それからまもなくギルドに戻ってきたラクサスの電撃が、不運にも彼女を襲った時。
ガジルは一瞬の迷いも躊躇いもなく、身体を張ってレビィを守ってくれた。
なまじ出会いが最悪だっただけに、思いもよらない彼の行動はレビィの心に大きな足跡を残した。
それ以来、レビィは気が付くとガジルのことを目で追ってしまうようになっていた。


当のガジルはといえば、レビィの視界の端で、今日もナツやエルフマンといったお馴染みの面々と、乱闘という名のじゃれ合いの最中であった。

「お前ら、いい加減にしないかっ!!ギルドの恥だ、そこへ一列に並べ!!!」

さしものガジルも、エルザには弱いようだ。
一喝されて、しぶしぶナツ達と膝を並べてお説教をくらっている。

(へぇ…あんな子供っぽい所もあるんだ。意外と可愛い…かも…)


「レビィ〜。何ニヤニヤしてんのさ??」

その言葉で我に返ると、カナの顔がすぐ目の前にあって、レビィはイスから飛び上がりそうになった。

「やだもう、ビックリしたぁ;;に、ニヤニヤなんてしてないよっ///」

「そうかい?なんかえらく幸せそうに見えたけど。」

「本当に、何でもないってば!!私も、少し泳いでくるねっ」

レビィは慌ててその場から離れ、ザブリとプールに浸かった。
火照った顔に、冷たい水の感触がとても心地良い。
先程の場所に視線を戻すと、もうそこに彼らの姿は無く、遠くのほうで少しふて腐れて座っているガジルが見えた。
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