リクエスト作品
□はじめての おかず
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そして、日曜日。
レビィは合鍵でガジルの部屋に入り、キッチンで早速料理を始めた。
女子寮のキッチンを借りて、何度かミラにホワイトソースの手ほどきをうけていたので、ほんの少しダマになってしまったものの、どうにかうまくホワイトソースを作ることができた。
「ええっと、あとはマカロニを茹でて…鶏肉とマッシュルームを炒めるのよね。」
傍らに広げた料理本で一つ一つ手順を確かめながら、ゆっくりと、丁寧に作業を進めてゆく。
最初にホワイトソースの玉ねぎを刻んでいた時、指を少し切ってしまって絆創膏を巻いたが、それ以外はほぼ順調だった。
全ての材料を型に流し込み、粉チーズを振ってオーブンに入れ、スイッチを押した。
あとは焼き上がるのを待つだけだ。
先に作っておいたサラダをテーブルに並べると、レビィはイスに座ってオーブンの中をボンヤリと眺めた。
(あ、そうだ…あの本。題名見られたらちょっと恥ずかしいな。)
立ち上がってキッチンの上を綺麗に片付けると、レビィはミラにもらった本を閉じ、表紙の部分を伏せて隅のほうに置いた。
グラタンとサラダ…ちょっと寂しいけど、最初から無理したってしょうがないもんね。
これから少しずつ覚えていこう。
結婚したら、毎日作る事になるんだし。
…結婚……。
いつか私も、する事になるのかな///
家庭を持って、いつか「お母さん」なんて呼ばれる日が来るんだろうか。
子供…大好きなガジルの、子供かぁ……。
テーブルに頬杖をつき、二人の未来に淡い思いを馳せていたその時、ガチャリと鍵を開ける音がして、レビィは現実に引き戻された。