リクエスト作品

□はじめての おかず
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「ガジル、お帰り!疲れたでしょ?」
「おう。そうでもねぇけど、思ったより手こずっちまってよ。お前が何か食わしてくれるっつーから、腹空かしてきたぜ。…オメー、ちょっと顔赤くねぇか?」
「そ、そんな事ないよっ///」
「まぁ、何でもねえならいいけどよ…おっ、この匂いはグラタンか?」
「えへへ、さすがに鼻がいいね!ガジルみたいにうまく出来たか分からないけど。」
「んな事ァ、どうでもいいんだよ。腹減って目が回りそうだぜ…早く食わしてくれよ。」
「ちょっと待っててね、今……」

その時、ドサリと音がして、料理の本が床に落ちた。
ガジルの目に、『大切な人に作りたいvvv初めてのおかず』という文字が飛び込んでくる。
慌てて本を拾い上げたレビィの小さな手には、痛々しく絆創膏が巻かれていた。

「………。」
「あ、この本はね、ミラがもう使わないからってくれたんだ///私が自分で買ったんじゃ……」

言い終わらない内に、ガジルに強く抱き締められた。
今拾い上げたばかりの本が、再び床にドサリと落ちる。

「が、ガジル……!?」
「大変だったろ?……ごめんな。」

ガジルという男は、基本的に仏頂面で素直ではなく、たまにレビィをからかって怒らせる事もあったが、ここぞという時には驚くほどストレートな言葉を放ってくる。
むしろこちらの方が彼の本質に近いのだという事を、レビィはすでに理解し始めていた。

「そんな、ガジルが謝る事じゃないよ。私が勝手に怪我したんだし…」

熱く濡れた口付けに、その言葉は遮られた。
レビィの小さな口の中が、ガジルの舌で隅々まで優しく蹂躙される。
やっとの事でレビィを開放すると、彼女はただ、恍惚とした表情でガジルを見上げていた。

ガジルの胸に、切なさと愛おしさがあふれ出しそうになる。
しばらくレビィをじっと見つめた後、ガジルは突然彼女をヒョイと抱え上げ、キッチンの上にそっと横たえた。
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