裏小説
□寄り道のススメ
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それから数日後。
ガジルの部屋の前で、しばらく佇むレビィの姿があった。
いつまでもウジウジしていても仕方がないよね。
今の私の気持ちを、ありのままにガジルにぶつけてみよう。
どんな結果になっても、私はガジルと一緒にいるって決めたんだもん。
そう決心してやって来たものの、いざ呼び鈴を押そうとすると、恐ろしくて手が震えてしまう。
やっぱり出直そうか……何度目かにそう考えた時、突然内側からドアが開いた。
タンクトップにハーフパンツという、彼にしてはかなりラフな格好で現れたガジルは、別段驚いた風でもなく、はるかに高い目線からジッとレビィを見下ろしていた。
「び、ビックリしたぁ…!!ガジル、これから出かけるところ??」
「…いや、今日は休みだ。ずっとお前の匂いがしてたから、どうしたのかと思ってよ。」
「に、匂いって…///もうっ!!そんな恥ずかしい事サラッと言わないでよ!!!私はただ、珍しくガジルがギルドに顔出してなかったから、心配で…。」
「アァ!?恥ずかしいって何がだよ、変な奴だな。」
「変なのは、ガジルの方だよ;;」
「……ま、いいか。とにかく入れよ。」
目線で促され、レビィはおとなしくガジルの後をついていった。
「あの時」以来、この部屋を訪れたのは久し振りだ。
「あれっ、今日リリーはいないの??」
「今日から三日間、青猫白猫と一緒に仕事だ。」
「へぇ〜、珍しいね!リリーが、ガジル抜きで仕事に行くなんて…。」
「潜入調査だからな。身体の小せぇあいつらが選ばれたらしい。それに…今の俺とは一緒に仕事できねえんだとよ。」
「今の、ガジル……??それ、どういう意味???」
「……とりあえず、座れよ。コーヒーでいいか?」
「え?ああ…うん。」
ガジルはレビィの質問には答えず、温かいコーヒーをカップに二杯分注いだ。
外見に似合わぬその滑らかな動作にレビィが見とれていると、ガジルは程無くしてトレイに載せたコーヒーをレビィの座ったソファの前に置き、自らもレビィの横に腰掛けた。
先程のガジルとの掛け合いでいくらか気持ちのほぐれたレビィは、コーヒーをひと口含んだ後、深呼吸をして口を開いた。