創作小説

□君の口に
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「祐二(ユウジ)おかえり」

「拓真(タクマ)……、ただいま」




俺の家には悪魔が住み着いている。
拓真(14)中学生。
俺が卒業するとき入学してきた可愛い可愛い後輩。
……訂正
可愛くない可愛くない後輩だ。
何故か1ヶ月前に訪問してき、同居する形となった。
『祐二さん好きだ!一緒に住もう!』
『!?、ちょ、誰だよ!わわわ、勝手にはいるな馬鹿!』
ただのガキだと思って油断して家に上げてしまったのが運のつき、やっと追い出したと思ったらスペアキーを盗まれていた。
そこから合い鍵を作られ、家に帰ると奴は待機しているようになったのだ。



「祐二、今日遅くない?」
「……別に」
「教えてよ」
「……レポート提出」
「へーそっか」


拓真は俺と話せてさぞ嬉しそうだ。
まだ中学生の拓真は俺より10センチほど低い。そんな可愛い反応されるとつい和んでしまうじゃないか。
「祐二」
拓真は“祐二さん”から“祐二”と呼ぶようになった。
最初の内は尊敬でも入っていたんだろうか、悲しい。

「ご飯作って」
畜生、生意気。
「はいはい」



それでもご飯を作るのは俺の仕事。
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