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□MASK
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ぱんばかぱーん!はいおめでとうございまーすなんと今ので君が私を殴った回数が1000を越えましたええそうなんですよ四桁ともなると感動はひとしおですねーハイこれからもどうぞよろしくおねがいします


ここまで考えて、急に虚無感に襲われた。ほんと馬鹿みたいだ、わたし。
とっくに麻痺して痛みは感じなくなった、ただただ熱を帯びる頬にそっと手を触れた。熱と冷たさが顔の上で溶け合うような妙な感覚だ。

きっと明日は腫れるのだろう、またマスクして出勤か。確かちょうど無くなってたから買わなくちゃなんて冷静に考える自分に気づき、滑稽だなあと自嘲してみた。
つい先程彼が出て行った扉を見つめながら、ぼんやりと愚考に耽る。




 “暴力振るう男なんて最低、すぐ別れるべき”

一般論って正しいと思う。

自分より力の無い存在を執拗に傷つける彼は、どう考えても卑劣で最低な人間だ。
そして長い間何も言わずにそれらを甘受する私も、負けず劣らずの大馬鹿野郎なのだと思う。

けれどもこの関係をさっさと終わらせなければならないことなんて、それくらい私がいくら馬鹿でもわかる。


本当は傷付くことが大嫌いだ。
まず痛いことがすごく嫌だし、泣き顔を他人に見られるのも嫌い。
暴力はもちろんのこと、大声で私の欠点を指摘して詰られたときも何時間も煮込んだシチューを食べもせずに捨てられたときも悲しかったし、頼んでも避妊してくれないのは本当に怖い。
ちなみにこれらは彼が私に日常的にする行為のほんの一部に過ぎない。誰にも何も言えずに時間だけが過ぎていく。

辛い。



暴力は決して愛情表現に成り得ないと、私は既に痛いほど知っている。だって私はいま全く幸せじゃないから。
それなのにどうして彼から離れることが出来ないのか、自分でも理解しかねる。


ただ、ただひとつだけ…ああ私はあんなものに縋るのか。
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