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□光合成少女
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翌日の放課後、いつものように部活に行こうとする辻くんを呼び止め、一緒に帰ろうと誘った。
話があるの、と。


彼は怪訝そうにどうかしかしたのかと心配してくれたけど、しばらくすると私がそれ以上喋らないと察したのか黙って頷いてくれた。


男子のひやかしの声や女子の責めるような視線の中で、辻くんの笑顔はいつも私を救う。

でも、今はその優しさが胸に堪えた。
あと少しでこの光がもう私に向かなくなることを思うと、心が張り裂けそうに痛いのだ。




帰り道、辻くんは気を遣って家の近くにある公園へ誘ってくれた。

夕暮れの公園は人気がなく、二人分の濃い影が長く伸びている。

その影と影の間を睨みながら、昨日ずっと胸の内で繰り返した言葉を頭に浮かべた。



言わなければいけない。

声に出して伝えなければいけない。


顔を上げて、辻くんを見た。
少し困ったような表情を浮かべ、私の言葉をじっと待っている。

ごめんなさいと、その姿に謝った。



「もう別れよう」


やっと言えた。

不釣り合いな私からの告白を、それでも断らないで付き合い続けてくれた辻君はやっぱりとても優しいよ。
例えからかわれていただけだとしても、私は辻君を嫌いになれない。


辻君は、私が告白したときと同じくらいびっくりした顔をして、その後静かな声でなんで?と言った。

普段の温厚で明るい彼からは想像しがたい、何かの感情を押し殺した、抑圧された声だ。

きっとその感情は怒りなのだろう。


怒って当然だ。

一度告白された相手に別れを切り出されるなんて、誰だっていい気はしない。
特に私みたいな根暗に振られるなんて、人気者の辻君にしてみればかなりの屈辱だろう。



別れを切り出した理由を告げる気はなかった。
それを話すとなると、私の醜いドロドロした感情を辻君に晒さなければならない。

そんなことは到底堪えられなかった。
私は黙って首を振る。



辻君は何も言わず俯き、地面に落ちてる枯れ葉の山や小石をみつめていた。



場に気まずい沈黙が流れる。


「あの、今までありがとう。…じゃあ、」


その重苦しい雰囲気の中で声を絞り出したのは、不意に視界がじわりと滲んだから。
今すぐ離れないとこの涙を見られてしまう。
泣いていると彼に悟られたくはない。


私は慌ててその場を離れよう身を翻した。



さよなら辻くん。






「待って」

大きな声が聞こえると同時に視界ががくりと揺れた。

捕まれた手首が熱い。



私は涙が引いたのをこっそり確認してから、後ろを振り向いた。








To be continued.
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