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□花に寄せて
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君を愛して、こんなにも多くの。
あかい色があることを知る。


薄紅に濡れた唇を、そっと吸う。少し開いた隙間から、零れる吐息が酷く艶めかしい。
「ん、…」
「陽介、反則」
俺の肩に回した腕が、震えている。無意識の内に取った行動だろうけど、それが庇護欲と嗜虐心を同時に煽るんだからタチが悪い。
戯れるように舌で唇をなぞると、一つ体温が高まるのを感じる。密着しているから尚更、ダイレクトに。
「何で、俺を押し倒して、生き生きしてんだよ…」
ちゅ、と一瞬唇が離れた隙に、陽介がそんなことを言う。甘い色をした瞳は、すっかり蕩けたように潤んでいる癖に。まだ冷静な振りをしようとする姿が、いじらしい。
「それはね、陽介。お前が可愛いからだよ」
「可愛くねーっつの!」
さっと頬に差した朱色。照れたようにそっぽを向く陽介に、俺の理性は早くも赤く明滅し始めるのだ。
「あぁ、もう限界。陽介が食べたい」
「ひ、…んっ!」
首筋に噛み付くようにして、滑らかな肌に跡を刻む。背徳の印を、鮮やかに咲かせる度、劣情が刺激された。
見事な迄に美しい。でもそれは、陽介だからこそ。

モノクロームの世界に宿る、赤を知った。それから、もっと。

だから俺は。真紅に寄せて、愛を謳うのだ。
誇らしげに咲き誇る、花に想いを寄せながら。




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リハビリ短文。

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