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□花と嵐
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※殺伐主花




「お前って、…誰にでもいい顔すんだな」
ひゅ、と異形達の体液で濡れた苦無を振り払って花村は言った。
「え…」
いつもの花が咲いたような笑顔はない。
ただ、嵌め込まれた硝子玉みたいな瞳が、俺を容赦なく射抜いている。
「バカじゃねーの?疲れんだろ、それじゃあ」
溜息を吐きながら、半分呆れたような顔。
それは全てを諦めた振りをしながらも、全てを手に入れたくて藻掻くような幼稚さを滲ませていた。
「花村こそ」
「うるせーよ」
ひゅる、と弄ばれる苦無が宙を舞う。
何時かその切っ先が俺に向くのだろうか。
無機質な瞳はその時に、どんな色を見せてくれるのか。
狂喜か、絶望か。
愚かに待ち侘びる。
俺が。お前が。



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