mini-Cabinet

□§ひねもす§
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不意にだれもいない部屋の窓が開いた。


にょっ、とその窓から入り込んで来たのは、巫のそれに似た緋色の衣を纏った少年。
銀色をした長い髪がさらり、と揺れる。


部屋に誰もいないのを見留めると、むぅ…と唸った。




来るのが早すぎたか?






いかにも犬のものらしい耳をピンとそばだてた。


部屋はもとより、家の中からも誰か居る気配は感じられない。

「…………………チッ」思わず、舌打ち。



迎えに行こうか?しかし、やたらむやみに行くと大概怒られる。どうするか……。


ぶっちゃけ、”おすわり”だけは避けたい。



腕を組んでしばし、思案した。
そして出た結論は、



待っているか…。



此処は、乱世のかの地などとは違い、安全なのだと云う。
時折、とらっくだとか云う鉄のような物でできた馬鹿デカイ乗り物が結構な速さで走って来るが……。

それだってヒトを襲ったりはしない。



なら、大丈夫だよな。





そう考え、ベットに腰掛けた。

ふんわりと、重さを包んで僅かに沈む。
この感覚は結構お気に入りだ。
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